世界で半導体競争激化、米・EUの補助金810億ドル

世界各国は、次世代半導体の開発・生産支援に向けて、米インテルや台湾積体電路製造(TSMC)などの半導体企業を対象に合計3800億米ドル(約59兆1582億円)の予算を確保した。うち、米国と欧州連合(EU)は合計810億米ドルの提供を確約。中国との競争を含め、世界の半導体競争を激化させている。

米国は「CHIPSおよび科学法」に基づき、国内の半導体製造能力の強化に今後5年間で527億米ドルを充てることを決定した。そのうち390億米ドルを半導体の生産支援、132億ドルを開発支援に振り向ける。さらに、低金利融資で750億ドル、および最大25%の税控除を提供する。

EUは域内の半導体生産強化に約463億米ドルを投じる。これを呼び水にして、公共・民間を合わせて1080億ドル超の投資を目指す。EUはインテルのドイツでの工場建設に110億ドルの補助金を提供することや、TSMCのドイツ工場建設で投資額の50%を補助することを計画している。ただ、欧州委員会はまだ最終承認を下していない。

米国は、先端半導体分野の対中規制をめぐりEUとの協力を強化しているほか、韓国、台湾、日本などとの連携強化も狙っており、対中国の共同戦線を固める構えにある。

日本は約253億米ドル相当の資金を確保。米CHIPSに呼応し、国内半導体産業を育成する。そのうち167億ドルはTSMCが日本国内に設ける2カ所の工場や、ラピダスが北海道に設ける工場に割り当てる。日本は30年までに国内で生産した半導体の売上高を3倍の963億米ドルに増やす目標を掲げている。

インド政府は今年2月、同国初の半導体工場の建設計画に用いる100億米ドル規模の支援プログラムを発表した。サウジアラビアでは、政府系ファンドが、年内に半導体分野で大規模な投資を行う計画を明らかにした。

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