「リチウム金属電池」、中国電池メーカーが開発注力

中国の車載電池メーカーが、次世代電池の有力候補の一つとされるリチウム金属電池の開発に力を入れている。リチウム金属電池はリチウムイオン電池の負極に使われる黒鉛をリチウム金属に置き換えたことが特徴で、重量当たりの蓄電容量を高めて、電気自動車(EV)の航続距離を飛躍的に伸ばせると期待されている。

恵州億緯リ能(リ=金へんに里、EVE Energy、広東省恵州市)の劉金成董事長は今年初め、エネルギー密度が450Wh/kg、充放電の上限回数が800回以上のリチウム金属電池の開発に成功し、特殊な環境下でのテスト運用を開始したことを明らかにした。

寧徳時代新能源科技(CATL)もリチウム金属電池の開発に着手しており、中国の国家知識産権局による今月15日の開示情報によると、「3D複合金属リチウム負極およびリチウム金属電池・装置」という名称の特許を取得した。結晶粒サイズのリチウム金属を二次電池の負極に用いることで、電池の安全性を高める技術という。

このほか、天斉リ業、太藍新能源、安徽盟維新能源科技、欣旺達電子といった電池メーカーに加え、吉利汽車、上海汽車などの完成車メーカーがリチウム金属電池の開発を進めている。

電池中国網によると、業界関係者は「リチウム金属負極の理論容量密度は3860mAh/gで、既存のリチウムイオン電池用負極に用いられている黒鉛の約10倍。現状のリチウムイオン電池の正極システムと組み合わせると、電池エネルギー密度を軽々と400Wh/kg以上に引き上げることができる」と期待している。

すでに実用化の機運は高まっている。固体電池メーカーの重慶太藍新能源は先ごろ、車載向け全固体型リチウム金属電池の開発に成功したと発表した。セル単体容量は20Ah、実測値でのエネルギー密度は720Wh/kgに達するとされ、業界内では、同社が全固体型リチウム金属電池の量産・完成車搭載を実現する中国第1号企業になるとの見方もある。

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