中国が工業分野の設備投資推進、「ソフトとハードの一体更新」強調
中国の工業情報化部など政府関連7部門は9日、「工業分野の設備更新推進の実施案」を通達した。2027年の工業分野の設備投資規模を23年比で25%以上増やすことや、一定規模以上の工業企業のデジタル化研究開発ツールの普及率を90%以上、重要工程のデジタル制御化率を75%以上とすることなどを盛った。
実施案は、全体方針の一つに「ソフトウエアとハードウエアの一体化更新」を掲げた。
うちハード面は、機械を生み出す機械、“マザーマシン”とも呼ばれる工作機械、大型航空機などの更新・レベルアップを「先進設備更新プロジェクト」の重点任務に指定。購入から10年以上が経過した工作機械の更新や、航空、太陽光発電、動力電池、バイオ発酵など分野での先進設備の導入を支援していくと記した。
ソフト面では、「デジタル化」に焦点を当て、「数値制御工作機械、産業用ロボット、無人搬送車などスマート製造設備の導入を推進し、人工知能(AI)、第5世代移動通信(5G)、エッジコンピューティングなどの新技術を駆使して、スマートファクトリーの建設を加速する」、「デジタルインフラ整備を強化して、工業向けエッジセンターの構築を加速する」とした。
実施案はこのほか27年まで目標として、◇工業大省・大市および重点工業園区に位置する一定規模工業企業のデジタル化を完了する◇エネルギー利用効率が基準レベルに到達しない重点業界の生産設備を淘汰し、主要エネルギー利用設備のエネルギー利用効率を省エネレベルに到達させる◇本質的安全レベルを大幅に向上させる◇革新的製品の実用化を加速する◇先進生産設備の比率を引き続き高める――ことを掲げた。
23年の中国の工業付加価値額は39兆9000億元(約837兆7300億円)で、国内総生産(GDP)に占める割合は31.7%に達して、製造業の規模は14年連続で世界最大だった。新型工業化が進むにつれて、先進設備に対する工業分野の需要は高まり続けており、中国政府が推進する「大規模設備の更新」の重点分野となっている。
国務院(中央政府)は3月、「大規模な設備更新と消費財の買い替えを推進する行動計画」を発表した。製造業界関係者は、政策の追い風を受けて、中国の工業分野における設備更新規模は年間4兆元規模に達するとの試算を示した。