IBMと東大、日本初のゲート型商用量子コンピュータを稼働=川崎市

日本IBMと東京大学は27日、日本初となるゲート型商用量子コンピューティングシステムを神奈川県川崎市が全面的に支援する産学官交流のインキュベーション施設「新川崎・創造のもり かわさき新産業創造センター(KBIC)」で始動したと発表した。米IBM製の量子コンピューターが日本で稼働するのは初めて。東京大が中心となってほかの研究機関や企業と連携し、新しい素材の開発や金融のリスク解析、数学などへの活用を検討している。

東京大学、IBM、川崎市は2021年6月、量子コンピューティング技術の普及と発展に関する基本協定書を締結。川崎市は電気、冷却水、ガスなどのインフラが安定供給され、地震などの振動に強い環境を整備し、量子コンピューターが常時、安定的に稼働できるようにサポートした。

今回発表したシステム「IBM® Quantum System One」は、2019年12月に東京大学とIBMが発表した「Japan–IBM Quantum Partnership」に基づき、占用使用権は東京大学が有する。同大学は、このシステムを活用して、企業、公的団体、大学等の研究機関と量子コンピューターの利活用で協力を深める。

東京大学はIBMと、量子コンピューターの普及と発展に向けた活動の強化を実施している。21年6月に、量子コンピューター技術の研究開発(R&D)を行うハードウエア・テストセンター「The University of Tokyo – IBM Quantum Hardware Test Center」を、東京大学浅野キャンパスに開設。さらに8月中旬には、東京大学が設立した「量子イノベーションイニシアティブ協議会」の会員企業との交流、情報共有の場として、「コラボレーションセンター(仮称)」を東京大学本郷キャンパス(理学部)に、設置する予定だ。

東京大学総長の藤井輝夫氏は「変化の早い量子技術分野は、システム開発だけでなく、次世代人材の育成が極めて重要。次世代の量子ネイティブの育成を進めていく」と述べた。同大学は今後も、さまざまな形での連携を推進して、量子コンピューターの発展を目指す。

IBMシニア・バイス・プレジデントの ダリオ・ギル氏は「量子コンピューティングは、新たなワクチンの開発から、環境負荷の低い物質のデザインまで、世界の重要な問題に取り組める可能性がある」と期待を述べた。

東京大学とIBM、日本初のゲート型商用量子コンピューターを始動

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