日産、中国開発のEVを世界販売へ
BYDやテスラも価格競争力
日産自動車は17日、中国で開発した電気自動車(EV)を世界で販売する計画を明らかにした。比亜迪(BYD)や米テスラなどは中国の現地生産コストの低さを利用して中国製自動車の輸出を拡大しており、日産も価格競争となっているEV市場での競争力を高め、世界での販売を拡大する。
中国メディアなどによると、日産自動車の副社長であり、日産中国の総裁でもある松山昌史氏は17日、中国で生産・開発された燃料電池車(FCV)、純電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHV)を海外市場に輸出することを検討していることを明らかにした。松山副社長は「日産はBYDのような中国のライバルがいるEV市場を狙っている」と説明した。
BYDや米テスラなどは中国の現地製造コストの低さを利用して工場の稼働率を高め、中国製自動車の輸出を拡大している。日産も同じ生産・輸出体制を取り、価格競争となるEV市場での競争力を高めるのが狙いとみられる。
日産は今年1~10月に世界で約280万台を販売し、うち中国での販売は5分の1強を占めた。 これに対し、2023年同期は3分の1以上を占めていた。日産は今年、中国での国内ブランドの人気上昇に加え、EVへの急速なシフトの中で市場での価格競争が激化していることから、中国での販売で厳しい状況に直面している。
■清華大学と共同開発へ
また日産は同日、中国市場の資源を活用してEVの開発を加速させるため、清華大学と協力協定を結んだと発表した。日産は24年から清華大学とEVの研究開発に特化した共同研究センターを設立し、充電インフラやバッテリーリサイクル技術の研究開発も行う。
日産の内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は声明で、「この共同研究により、中国市場をより深く理解し、中国の顧客のニーズをより的確に満たすための戦略を開発できることを期待している」と述べた。日産と清華大学は 2016年から、スマートモビリティーと自動運転技術に関する共同研究を行っており、より深化した関係を構築することになる。