華為、24年スマホ出荷目標7,000万台 中国サプライヤーに追い風

中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ、広東省・深セン市)は、2024年のスマートフォンの出荷目標を6,000~7,000万台に設定したもようだ。足元では、最新スマホ「Mate 60」が市場予想をはるかに上回る人気を博しており、中国のスマホサプライチェーン生産能力を短期間に押し上げる作用があると期待されている。

7,000万台は同社の22年のスマホ出荷量の2.3倍に相当する。騰訊網によると、華為の関係者が同社が同目標の達成に向けて、カメラレンズ、プリント配線基板といったスマホ部品の在庫を増やし続けていると明らかにした。

米アップルの人気スマートフォン「iphone」の受注がなくなったことでほとんど閉鎖寸前だった歌爾(ゴアテック)や欧菲光集団(オーフィルム)などの国内サプライヤーは突然、華為などからの注文が倍増し、生産が二交代制になったという。

■iPhoneのインドへの生産移管

アップルはインドやベトナムへの生産シフトを段階的に進めているとされ、近年の中国のサプライチェーンの失注に大きく影響しているとみられている。また京東方(BOE)は一時期、アップルの「iPhone 13」向けスクリーンを受注したものの、設計変更を理由に生産が中止される事態に遭遇している。

一方、華為の復活によって、アップルの脱中国依存によって生じる市場の穴を埋めることができる。また中国のスマホサプライチェーン生産能力を短期間に押し上げる作用があると期待されており、5,000億元(約10兆2,243億円)の経済波及効果と、数百万人の新規雇用を生み出すとの試算もある。

しかも、アップルは今も絶対多数のスマホ部品を中国から調達している事実に変わりはなく、華為の強大化に伴って激化する商品開発競争は、結果的に、中国サプライヤー企業の技術力アップにつながる。こうしたなかで、アップルがインドへのシフトを加速し、かつ、インドのサプライヤー企業が中国企業の技術力アップについていけなければ、アップルが華為とのスマホ競争で劣勢に立たされる事態も想定される。

アップルは依然として中国に多くのサプライヤーがある。現在、iPhoneの原材料や部品のサプライヤーは世界31カ国・地域の590社以上に及び、このうち349社は中国本土にあるとされる。業界関係者によると、アップルの中国でのサプライチェーン全体だけでも300万人の労働者がおり、インドとベトナムの労働者は合わせても20万人に満たないという。

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