イスラエル・ハマス衝突、米インテルなど半導体企業に影

日立など日系企業も拠点

イスラエル・ハイファにあるインテル社屋

パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルの衝突を受け、イスラエルの半導体産業への影響が懸念されている。特に、現地に拠点を置く半導体受託生産会社Tower Semiconductor(タワーセミコンダクター)と、イスラエルに開発・生産拠点を置く米Intel(インテル)に対して、最も大きな影響が及ぶ可能性が指摘されている。

タワーセミコンダクターは、イスラエルに6インチウエハーと8インチウエハーの工場を保有しているが、今年の民生用電子機器市場の低迷を受けて両工場ともに業績不振に陥っており、イスラエルとハマスとの武装衝突が追い打ちとなる可能性は高い。11日付集積網によると、同社は「工場は正常に操業している」としているが、衝突が長期化または拡大すれば、顧客が他社へと発注先を変更する事態は容易に想定できる。

一方、インテルはイスラエルに3つの研究開発(R&D)施設と、「Fab 28」と呼ばれる同社最大規模の半導体製造工場を有している。現地に1万人規模の従業員を抱え、イスラエルにおいて輸出額が最も大きい企業だ。インテルは「イスラエル情勢を注視するとともに、従業員を保護・サポートするための措置を講じる」との声明を発表したが、現地の生産活動が衝突の影響を受けているかどうかについてはコメントを控えた。

インテルは今年6月、テルアビブ南部のキリヤット・ガットに最先端の半導体工場を設立することでイスラエル政府と合意に達した。投資額は250億ドル(約3兆7,292億円)で、イスラエルへの海外からの投資では過去最高額。2027年の操業を予定する。キリヤット・ガットは、ハマスが実効支配するガザから42キロメートルの距離にあり、軍事衝突が激化すれば、計画が頓挫する事態も想定される。

■半導体関連会社は200社

イスラエルの人口は1,000万人足らずだが、世界のテクノロジー大手や半導体大手が拠点を設けるほか、半導体やAI(人工知能)などの優秀なスタートアップ企業も少なくない。これまでにイスラエルには多国籍企業500社、半導体チップ企業約200社、世界のチップ設計人材の約8%が集まっており、米アップル、クアルコム、テキサス・インスツルメンツ、マーベル、韓国サムスン電子、LG、中国の華為技術(ファーウェイ)、日立製作所などの世界の大手半導体関連会社がR&Dセンターをそれぞれ設立している。イスラエルの23年の半導体産業は11億4,000万米ドル(約1,699億7,400万円)に達すると予想されている。

12日までにイスラエル、パレスチナ双方の死者は計2,400人以上に上っている。イスラエルは現在、ガザへの大規模な地上作戦を準備しているともされる。

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