「消化外科領域手術支援ロボ」が治験最終段階、 ROBO医療が資金調達

ROBO医療の消化外科領域の内視鏡下手術支援ロボット(同社リリースより)

手術支援用ロボットを研究開発(R&D)する中国のスタートアップ、深セン市羅伯医療科技(ROBO医療、広東省深セン市)は、シリーズAラウンドで数千万元規模の資金調達を完了した。新たな資金は、消化外科領域の内視鏡下手術支援ロボットの臨床試験や新製品の開発に充てる。中国は消化器がんが多いとされ、内視鏡下手術支援ロボットの普及が期待されている。

ROBO医療は2017年、山東大学斉魯医院と共同で、消化外科領域の内視鏡下手術支援ロボットを開発した。最先端のマイクロコンティニュアスフレキシブルロボットアームソリューションを採用し、アームの直径は3ミリ以内で、6軸の自由度に対応し、正確なマスタースレーブ制御を実現した。従来の胃カメラの動きをロボットアームの動きに置き換えることで、より直感に近い消化器内視鏡手術が可能となり、手術時間の短縮、術中合併症の軽減、手術範囲の拡大につながった。

同ロボットは、すでに山東大学斉魯病院や上海長海病院など全国の多くの医療施設で臨床試験が行われており、手術例は100例を超過。治験は最終段階にある。

■中国でESDができる医師は日本の10分の1

統計によると、内視鏡による消化器がんの手術である「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」を行える中国の医師は、100万人中19人と、日本(同181万人)の10分の1にとどまる。ESDは難易度が高く、医師の学習曲線(ラーニングカーブ)が長いことが、普及をはばんでいる。

一方、世界保健機関(WHO)の統計によると、消化器腫瘍の症例数と死亡者数は世界的に増加傾向にあり、消化器腫瘍患者の半数近くが中国にいるとされる。 中国での新規患者数は毎年136万人を超え、新規がんの約3割を占める。消化器腫瘍は、中国におけるがんの第1位となっている。

近年は「早期検診、早期診断、早期治療」というコンセプトの下で、ESDは消化管の早期がんに対する好ましい治療方法の一つとなっており、内視鏡下手術支援ロボットの普及が期待される。

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