北方華創、3D DRAM向け加工技術で進展 中国の国産メモリ産業が前進

中国最大の半導体製造装置メーカー、北方華創(NAURA、北京市)はこのほど、次世代の3D DRAMメモリ半導体の製造に向けた重要なプロセス技術の進展を、IEEEの学術誌に掲載した論文で明らかにした。高アスペクト比構造における選択的エッチングの課題を対象とする「2段階サイクルエッチング」技術で、メモリ半導体を3次元積層化する際の難題に対応する。極端紫外線(EUV)露光装置がない条件でも、重要な製造工程を実施できる可能性を示したとしている。

この発表を受け、業界では期待が高まっている。長シン存儲(CXMT)などの中国国内メモリーメーカーが、西側によるEUV露光技術の制約を回避し、次世代メモリ技術で国際的な競合企業に並ぶ、あるいは先行する機会を得る可能性があるためだ。

2段階サイクルエッチングが解く課題

従来のDRAMは、トランジスタを平面上に集積する構造を採る。しかし、製造プロセスの微細化が物理的な限界に近づくにつれ、線幅をさらに縮小することは難しくなっている。3D DRAMの基本的な考え方は、トランジスタを2次元平面で微細化する手法から、3次元の垂直積層へ移すことにある。トランジスタを層ごとに積み上げることで、メモリーセルの密度を高める。土地が足りなくなった建物を上方向に増築するような考え方だ。3D NANDフラッシュはすでにこの道を進んでおり、DRAMも同じ方向へ進化しつつある。

北方華創の論文は、シリコンとシリコンゲルマニウムを交互に積層した64層の3D DRAM構造を対象としている。製造工程では、シリコンゲルマニウム層を正確にエッチングして除去し、残ったシリコン層の空隙にワード線、ビット線、ゲートなどの微細構造を形成する必要がある。

ただし、高アスペクト比構造における横方向の選択的エッチングは、長年にわたる業界の難題だった。分かりやすく言えば、数十層の異なる材料が交互に積み重なった構造の中で、特定の1層だけを正確に取り除き、隣接層を傷つけないことが求められる。何枚も重ねた紙から、上下の紙を破らずに特定の1枚だけを抜き取るような作業に例えられる。

プロセス性能が不十分であれば、エッチング選択比の不足によってシリコンの骨格構造が損傷する。あるいは、マイクロローディング効果によって反応生成物が構造の底部に蓄積し、層間で著しいエッチングの不均一が生じる。結果として、チップ全体の歩留まりが急低下する恐れがある。

同社の2段階サイクルエッチング技術は、工程を「エッチング」と「クリーニング」の2段階に分け、これを繰り返す。第1段階では、バイアスをかけない電気的中性のフッ素ラジカルを用いて、シリコンゲルマニウム層を局所的にエッチングする。シリコンに対する選択性が非常に高く、同時にシリコン層の表面には緻密なフッ化ゲルマニウムの保護膜が形成される。第2段階では、反応性ガスを導入して底部に堆積した副生成物を除去し、エッチングガスが垂直方向に円滑に到達できるようにする。

論文で開示されたデータによると、このプロセスはシリコンゲルマニウムとシリコンのエッチング選択比で500対1超を達成した。これは、シリコンゲルマニウムのエッチング速度がシリコン層の500倍超に相当することを意味する。200ナノメートルの中間層構造では、シリコン層の1回当たりの損失を1ナノメートル未満に抑えた。さらに重要な点として、64対の交互積層構造において、95%超の構造均一性を実現したとしている。

論文で示された指標(原文記載)内容
対象構造シリコン/シリコンゲルマニウムの64層交互積層3D DRAM構造
エッチング選択比シリコンゲルマニウム:シリコンで500対1超
シリコン層の損失200ナノメートル中間層構造で1回当たり1ナノメートル未満
構造均一性64対の交互積層構造で95%超

市場シェア上昇とプロセス技術の進展が交差

北方華創による論文発表の時期は注目される。発表の前後には、長シン存儲が市場面で目を引く成果を示したとされる。

市場調査会社Counterpoint Researchの世界DRAM市場分析レポートによると、2026年4~6月期の世界DRAM市場の総売上高は前年同期比385%増、前期比57%増となった。長シン存儲の同四半期における世界DRAM市場の売上高シェアは10%まで上昇し、前年同期比で4ポイント、前期比で2ポイント拡大した。順位は4位で、同四半期に最も成長したDRAMサプライヤーだったという。主要メーカーでは、韓国サムスン電子が38%で首位を維持し、SKハイニックスが25%、マイクロン・テクノロジーが24%で続いた。

長シン存儲の市場シェア急拡大と、3D DRAMへの技術路線の戦略的転換は、この時期に重なっている。北方華創が発表した2段階サイクルエッチングは、この垂直積層への移行で重要となる製造上の障害を取り除く技術と位置付けられる。

長シン存儲にとって最大の中国製装置サプライヤーである北方華創のエッチング、薄膜堆積、熱処理、洗浄などの装置は、すでにCXMTの生産ラインに導入されている。両社の協力は2019年までさかのぼる。今回の論文の背後には、生産ラインで検証済みの装置能力と、長年の協業を通じて築かれた深い連携関係があるとされる。

量産化までにはなお距離

もっとも、実験室から量産ラインへの移行には、半導体業界において常に大きな隔たりがある。北方華創が論文で示したデータは独立した検証を受けておらず、公開情報には具体的なプロセス名称、性能指標、歩留まり、量産スケジュールも明らかにされていない。長シン存儲がこのプロセスを量産ラインに統合できるか、またいつ3D DRAMの量産を実現するかは、依然として不透明だ。

ただし、発せられたシグナルは明確だ。3D DRAM技術は2027年に新たな研究開発上の進展を迎える可能性があり、EUV制約を回避する実行可能な選択肢となり得る。北方華創のIEEE論文は、この競争における号砲とみることができる。

CXMTにとっては、世界市場でのシェアが10%を突破したタイミングで、技術路線を2次元での追随から3次元での追い越しへ転換する戦略的な機会が到来している。市場での地位向上とプロセス技術の進展が重なることで、この競争に一層の自信と可能性が加わる。

中国の国産メモリー産業にとって、これは2次元での追随から3次元での追い越しへ進む戦略的な機会である。北方華創にとっては、装置サプライヤーからプロセスソリューション提供者へと役割を高める重要な一歩となる。業界全体にとっては、世界のDRAM競争構造を再編し得る長期戦の始まりとなる可能性がある。

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