長シン存儲、テンセントと200億元超のサーバー向けDRAM長期供給契約を締結=報道

英ロイター通信の6月29日報道によると、中国の国産DRAMメーカー、長シン存儲技術(シンは金が3つ、CXMT、安徽省合肥市)は、中国IT大手の騰訊(テンセント)とサーバー向けDRAMメモリチップの長期供給契約を締結した。契約総額は200億元(約4780億円)を超える。契約期間は最長3〜5年で、主にサーバー向けのDDR5 DRAMチップの供給となる。
長シン存儲の科創板上場プロセスは最終段階に入っている。IPO申請は上海証券取引所の上場委員会の審議を通過し、中国証券監督管理委員会(CSRC)の登録承認も得ており、調達予定額は295億元と科創板IPOとして過去最大規模となる見通しだ。
この敏感な時期にテンセントから200億元超の長期受注を獲得したことは、長シン存儲のIPO価格設定と投資家の信頼を大きく支えるものだ。また、2人の関係者によると、長シン存儲は他の中国大手インターネット企業とも同様の長期供給契約に向けた交渉を進めているという。
長シン存儲がテンセントから数百億元規模の大型受注を受けられる背景には、急速に拡大する生産能力と商業化能力がある。
CFMフラッシュメモリ市場のデータによると、長シン存儲の2026年第1四半期(1〜3月)のDRAM売上高は73億900万ドル(約1兆1862億5070万円)に達し、前四半期比115.1%増となった。市場シェアは7.7%に上昇し、世界第4位となった。韓国サムスン電子が40.5%のシェアで首位、SKハイニックス(29.6%)と米マイクロン(19.9%)が2位・3位に続く。
生産能力の面では、長シン存儲は合肥に12インチDRAM工場を2カ所、北京に1カ所を運営しており、現在の月間総ウェハー生産能力は約30万枚に及ぶ。業界分析機関SemiAnalysisは、26年末には月産能力が約35万枚、27年には約42万枚に達すると予測しており、世界のDRAM生産能力に占める割合は25年の約11〜13%から27年には約17%に上昇する見通しだ。
世界的なDRAM不足が国産代替の追い風に
今回の協業の直接的な原動力は、26年の世界んおDRAM市場で発生した異例の供給不足にある。業界データによると、現在の世界的なDRAM供給不足率は4.9%に達しており、過去15年間で最も深刻な状況となっている。
サムスン、SKハイニックス、マイクロンなど海外の大手メモリメーカーは、米Apple(アップル)、Microsoft(マイクロソフト)、米半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)など海外の大口顧客を優先して生産能力を割り当てており、国内クラウド事業者の増加する需要を満たすことが難しくなっている。一方、海外DRAMの現物価格は国産チップより約30%高く、性能が基準を満たしている状況では、国産メモリチップの価格競争力がますます際立っている。
DRAMチップはサーバーやデータセンターがクラウドコンピューティング・データベース・AI(人工知能)ワークロードを処理するための重要部品だ。世界的なメモリ供給の逼迫と価格の持続的な上昇を背景に、インターネット・クラウドコンピューティング企業は長期供給契約(LTA)を通じて供給を確保し、海外メーカーによる一方的な値上げや供給削減のリスクを回避しようとしている。
HBMが含まれるかは未確認
現時点では、この取引の詳細は明らかになっていない。ロイター通信は、契約に長シン存儲の高帯域幅メモリ(HBM)製品が含まれているかどうかは確認できていないと指摘した。HBMはAIの学習・推論シナリオにおける中核的なメモリ部品であり、仮に今後長鑫存儲のHBM製品が供給対象に加わることになれば、同社が正式にAI演算の中核サプライチェーンに参入し、ハイエンド製品の成長余地が大きく広がることを意味する。
公開情報によると、長シン存儲のDDR5製品はテンセントなどのクラウド事業者による厳格なテストをすでに通過しており、データセンターの7×24時間高可用性要件を満たしている。価格面では、同等スペックのサーバーメモリにおいて、長鑫存儲の供給価格は輸入チップより約3割低く、テンセントにとっては今後数年間の演算ハードウェア調達コストを大幅に削減できる。
世界のDRAM市場は長年にわたり、米国のマイクロン、韓国のサムスン、SKハイニックスの3社による寡占状態が続いており、3社合計の世界市場シェアは90%を超える。国内インターネット企業のサーバー向けDRAMチップは輸入に大きく依存しており、サプライチェーンに不安定リスクが存在していた。
今回のテンセントと長鑫存儲の深い連携は、国産ハイエンドDRAMがトップクラスの演算クラスターに採用されたことを実証するとともに、国産メモリチップが国内大手テクノロジー企業のサプライチェーンに参入する道を切り開いた。長鑫存儲にとっては、数百億元規模の安定した受注が新規増産能力の消化を後押しし、科創板IPOに向けた強固な業績の裏付けとなる。テンセントにとっては、AI演算インフラの時代においてサプライチェーンの安全を先手で確保するための戦略的措置となる。




