AIブームで需要増、中国国産CPUに巨大商機

AI(人工知能)ブームを背景に、AI開発に必須となるCPU(中央演算処理装置)業界が中国で活気づいている。産業調査機関「頭豹研究院(LeadLeo)」によると、2019年から21年にかけて中国のCPU市場規模は年間平均6.91%のペースで拡大した。27年には5,019億4,900万元(約10兆1,677億円)に達する見通しだ。中国政府はIT製品の政府調達において、国産品を集中的に買い付ける姿勢にあり、国産CPUの市場獲得余地は大きい。

AI(人工知能)向けサーバーやAI対応パソコン(PC)の市場拡大に伴って、CPUの需要は今後も急速に拡大していくとみられる。中国のCPU産業はGPU(画像処理半導体)と比較すると技術成熟度が高い。頭豹研究院によると、22年の中国のCPU市場における国産化率は30~40%だった。その後も国産品の普及が進んでおり、最近行われた運営業者による集中調達では、国産CPUの比率が70%に迫った例もある。

英市場調査会社カナリスによると、中国の政府部門と教育関連部門が23年に調達したPC台数は272万台に達し、同年の中国のPC出荷台数の6%を占めた。

中国の中央国家機関政府調達センターは今年3月、中央国家機関の24年版パソコン調達基準を発表し、搭載されるCPUとオペレーティングシステム(OS)が安全かつ信頼性が高い(「安全可靠」)という測定評価要件を満たす製品を調達するよう求めた。カナリスは、中国の主要CPUメーカー6社(海光信息、竜芯、華為、飛騰、兆芯、中威)はいずれも同要件を満たすとみている。

中国の国産CPU市場は、◇龍芯(Longxin)、申威(Shenwei)などの「完全独自開発勢」◇中国長城傘下の飛騰や華為技術(ファーウェイ)傘下の深セン市海思半導体など、半導体設計大手ARM(アーム)のアーキテクチャーに準拠した「アーム勢」◇上海兆芯や海光信息など、米Intel(インテル)のアーキテクチャーであるx86に準拠したx86勢――の3大流派がしのぎを削っている。

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