iPhoneがOLEDに全面移行へ、日本のディスプレイ・メーカーに打撃

米Apple(アップル)は、人気スマートフォン「iPhone」向けスクリーンをOLED(有機ELディスプレイ)に全面移行する。LCD(液晶ディスプレイ)の最大サプライヤーだった日本のディスプレイメーカーがアップルのサプライチェーンから外れる見通しだ。

アップルはこのほど、サプライヤーに対し、2025年に発売される次世代「iPhone SE」シリーズのディスプレイにOLEDを採用する予定を通知している。iPhone SEにOLED技術が採用されることで、アップルはLCDを搭載したiPhoneの新モデルがなくなることになる。

現在、日本のディスプレイメーカーのジャパンディスプレイ(JDI)とシャープが「iPhone SE 3」にLCDを供給している。より上級モデルについては、韓国サムスンディスプレイとLGディスプレイ(LGD)、そして中国の京東方科技集団(BOE)からOLEDを調達している。

JDIとシャープはスマートフォン用のOLEDスクリーンを生産していないため、日本企業がiPhone用のディスプレイパネルを供給することができなくなる見通しだ。

日本の経済産業省が2012年に主導して、東芝、日立製作所、ソニーがLCD事業を統合してJDIを設立し、これにパナソニック、三洋電機、セイコーエプソンの技術者らが加わった。15年頃には、日本のサプライヤーがiPhoneのLCDスクリーンの市場シェアの70%を占めていた。

しかしこの年、アップルが新型iPhoneにOLEDを採用することを決定したことが大きな転機となった。 16年1月、アップルはJDIに対し、白山工場の建設中止を要請。JDIは生産能力増強の提案に基づき、すでに石川県で1700億円を投じたディスプレイ工場の建設に着手していた。JDIの白山工場は16年に完成したが、稼働率は低迷している。同工場は2019年7月に閉鎖され、2020年に売却された。

JDIの連結売上高は現在、ピーク時の4分の1以下に縮小しており、23年にはスマートフォン用液晶パネルを非中核事業に追いやり、車載ディスプレイとウェアラブルに注力して黒字化を目指すとしている。

シャープは1970年代に電卓の画面用としてLCDを商品化した。その後、LCDは携帯電話やパソコン、テレビに使用されるようになった。21世紀に入ると、韓国や中国、台湾の企業が生産設備を拡大したため、日本企業は大型テレビ用パネルの市場シェアを失った。

シャープは2015年、テレビ用大型液晶パネルへの過剰投資により経営危機に陥った。シャープも大型液晶パネル生産から撤退し、比較的採算の取りやすいパソコンやタブレット向けの中型パネル生産で生き残りを図った。

中国メーカーが台頭

今年上半期(1〜6月)のスマートフォン用OLEDの世界出荷台数のうち、BOEが16.1%、維信諾が11.3%、TCL華星が9.7%、天馬微電子が9%を占め、これら4大メーカー合計で46.1%のシェアを占めている。

また、海外メディアの報道によると、今年の世界のスマートフォンOLEDディスプレイ出荷台数は、昨年の6億1000万台から8億台に増加し、中国メーカーのシェアは47.9%を占めると予測している。

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