中国が「水素エネルギー」普及政策、内燃機車に強い逆風

FCVの8割の特許持つトヨタ

中国国家発展改革委員会とエネルギー局が3月23日に発表した「水素エネルギー産業発展中長期計画(2021~35年)」は、2025年の水素燃料電池車(FCV)の保有台数を5万台に増やすなどの具体目標が示された。電気自動車(EV)とハイブリッド車(HEV)と並ぶ環境対応車としてFCVの本格普及を進める中国政府のスタンスが明確に打ち出されるか、従来型の内燃機車への逆風は一段と強まりそうだ。

環境性能に優れた水素エネルギーは、EVやHEVなど現行の新エネルギー車の弱点を補うと期待されている。ガソリン車は、給油時間の短さが魅力だが、FCVはその優位性を揺るがす存在となりうる。

水素は人体に無害で、かつ環境汚染のないクリーンエネルギーである上、可燃範囲が広く、燃焼速度も非常に速い。充填時間は5分程度と短く、フル充填で800~900キロメートルの航続距離を実現できる。

もっとも、水素は自然界ではほとんど単独では存在せず、化合物から取り出す必要があり、エネルギー消費は避けられないといった現実的な問題も横たわる。たとえ、エネルギーの電気から水素への移行が政策的に進んだとしても、水素は電気を使って取り出すこととなり、その電気の原料は化石燃料という事態になりかねない。

それでも、大方針の号令がかかったことで、水素エネルギーの勢いは今後増すことは間違いなく、脱内燃機車の潮流は一段と強まるとみられている。

国内では近年、HEV技術は急速に発展している。比亜迪(BYD)や長城汽車、浙江吉利控股集団、奇瑞控股集団はいずれも最新世代のハイブリッド技術を投入した。

HEVの関連特許の80%近くを所有しているトヨタ自動車は、第1世代の製品を2014年に発売しているが、その特許は2004年~09年に集中し、ほとんどは24年~29年に失効する。中国国内企業の利用もトヨタの特許技術の利用が可能になるとみられている。

 

トヨタ自動車が公開した水素燃料電池車「MIRAI」のシャーシとエンジン部分=2020年9月5日

产业发展中划(2021-2035 年)》

 

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