中国科学院、全固体電池向け均質化負極材料の開発に成功
中国科学院青島生物能源・過程研究所固体能源系統技術中心はこのほど、全固体リチウムイオン電池向けの均質化負極材料の開発に成功した。成果は7月31日付の国際学術誌Nature – Energy(ネイチャー・エネルギー)に掲載された。
全固体電池は、電池の正極内部の異なる材料(電極材料や電解液など)の化学的・物理的特性を完全に一致させることが難しく、その結果さまざまな界面問題が発生し、電池のエネルギー密度と寿命に影響を及ぼすことが課題となっていた。
今回開発に成功した均質化負極材料「Li1.75Ti2(Ge0.25P0.75S3.8Se0.2)3」は、リチウムとチタン、ゲルマニウム、リン、硫黄、セレンから成る。高いイオン伝導度(0.2 mS cm-1)、高い電子伝導度(225 mS cm-1)、高い比放電容量(250 mA h g-1)を実現。同材料のイオン伝導性と電子伝導性は、従来の層状酸化物正極材料の1000倍以上で、比放電容量は現在の高ニッケル正極材料を上回る。同時に、充放電時の体積変形はわずか1.2%で、従来の積層型酸化物正極材料の50%以下だ。また高い導電性により、正極は導電性添加剤を加えることなく通常の充放電が可能で、充放電プロセスにおける電池の構造安定性が確保される。100%活物質で構成された全固体リチウムイオン電池は、5000サイクル後も初期容量の80%を維持。390Wh/kgという高いエネルギー密度は、これまでに報告されている長サイクル全固体リチウム電池の1.3倍になるとしている。