米、クラウドも対中規制検討 AI巡り覇権争い

米国が中国企業を対象にクラウドサービスの利用を制限する準備を進めている。中国企業が米国のクラウドサービスを使ってAI学習を進めることを防ぐ狙いがある。

米OpenAIが開発した事前学習済みの大規模言語モデル(LLM)「GPT-3」以上のバージョンはオープンソース化されていないが、海外にはオープンソースのマクロモデルがあり、これらの中で最も人気があるのは、2023年2月にリリースされた米Meta(メタ)の「LLaMA」と、同年7月にリリースされた「LLaMA2」だ。

LLaMA2には3つの公開バージョンがあり、それぞれ70億、130億、700億のパラメータを持つ。LLaMA2はGPT-4には及ばないものの、コピー元としては十分で、中国国内の新興企業の中にはLLaMA2を「自己研究用ビッグモデル」として採用しているところもある。

レモンド米商務長官は26日、米ロイターのインタビューで「自国のクラウド企業が海外の企業、特に中国の企業を対象にクラウドサービスを提供することを制限する」と述べた。LLMを訓練するために誰が米国のデータセンターにアクセスしているのかが分かるよう米クラウド企業に求める方針だ。

中国の証券アナリストは米国のこの動きについて、「米国の対中ハイテク制裁が次のステージに進むことを意味し、中国AI産業に対する潜在的な破壊力は大きい」と指摘した。

同アナリストによると、中国の大手インターネット企業やテクノロジー企業は過去1年あまりで生成AIとLLMの分野で技術力を大きく伸ばし、OpenAIとの技術差を「半年~1年」に縮めた。

しかし、中国企業がオープンAIを追い抜くためには、海外のオープンソースLLM技術を手本とすることが不可欠な上、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)やMicrosoft Azure(アジュール)といった海外のクラウドサービス企業のサービスを利用して計算能力の問題を解決することが前提だ。米国がクラウド規制に乗り出せば、中国企業は生成AIを開発するための自前の計算能力の発掘に迫られることになる。

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