中国スマホ関連企業、インド撤退の動き
中国のスマートフォン関連メーカーがインド市場から撤退する動きが加速している。2000年以降、小米科技(シャオミ)や維沃移動通信(Vivo)といった中国スマホメーカーが相次いで関税回避の疑いでインド当局の捜査対象となるなど、中国のスマホメーカーに対するインドの監視の目が厳しくなっていることが背景にある。
今月11日、インド当局が、資金洗浄の疑いでvivoの中国人社員1人を含む4人を逮捕したと報道された。これに対してvivoは、「インドで現地の法律を厳格に守っている。われわれは調査の動向を注視しており、すべての法的手段を講じて対応する」とコメントした。
さらに2022年には、シャオミのインド法人がロイヤルティー支払いの名目で海外の法人に対して違法な送金を行っていたとして、インド当局から約7億米ドルの資産を差し押さえられた。併せて、広東欧珀移動通信(OPPO)とvivoも捜索の対象となり、vivoは46億5,000万ルピーの資産が凍結された。
インドでの中国企業に対する逆風が強まる中、事情筋によれば、vivoとOPPOはインドでの減産を計画中。インドでの受注を中国資本を含むインド現地のODM・OEMメーカーに分配する方向で調整しているとされる。
中国スマホメーカーのインドでのシェアは縮小を続けており、絶頂期の8割から足もとで6割を割った。失った市場は主にアップルやサムスンに奪われた。こうしたなか、インドでは2020年以降、中国のスマホメーカーとスマホ関連部品メーカーの増加数が停滞状態にある。
中国企業に対するインドの厳しい対応はこれにとどまらない。シャオミやOPPO、vivoなど中国のスマホメーカーに対し、インド事業ではインド国籍を保有する役員を任命し、インド資本の株式パートナーを迎え入れるよう求めたとされる。
■成長市場、再進出企業も
もっとも、強い逆風を恐れずに、インドのスマホ市場に復帰する企業も現れた。2022年7月インド市場を撤退した栄耀(HONOR)は今年8月、インド市場への再進出を発表した。
栄耀は、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)から独立後、海外市場に乗り出し、東南アジア、南アジア、欧州などに進出した。グローバル展開を加速するには、巨大な人口を有し、経済成長を続けるインド市場を無視できないと判断したようだ。
調査会社カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチの2022年発表によると、インドではスマホユーザーの50%が1年以内の買い替えを予定しているのに対し、中国市場はスマホの買い替え周期が約40カ月に伸びた。