ファーウェイの最新スマホ、米対中規制の7ナノチップ搭載か

華為の最新スマホ「Huawei Mate 60 Pro」(華為商城より)

中国の通信機器大手、華為通信(広東省深セン市、ファーウェイ)の新型スマートフォン「Mate 60 Pro」に搭載されたシステムオンチップ(SoC)「麒麟Kirin 9000S」は、中国製で回線路幅14ナノメートル(nm)から7nmの製造プロセスが採用されている可能性が高いことが分かった。

華為は正式発表していないものの、中国のユーザーが新型スマートフォンを分解し、搭載されていたチップ「麒麟Kirin 9000S」を調べた結果、中国製で回線路幅14nm以下〜7nmのを使った製造プロセスが採用されていることが分かった。

一方、7nm以下の先端半導体チップの製造に欠かすことが出来ないEUV(極端紫外線リソグラフィ)は2019年、米国の対中輸出規制の対象に組み込まれた。このため、半導体チップを生産する中国の半導体生産受託会社は、193nmのDUV(深紫外線リソグラフィ)を調達するしか術がない状態だが、同装置の対中輸出も間口が狭められており、オランダの半導体製造装置メーカーのASMLホールディングは、2024年まで中国の顧客にDUV露光装置を納入できない状況にあることを明らかにしている。

このため、7nmの技術を使った中国製SoCの登場は、中国製EUVが技術面でブレークスルーを実現したか、あるいは、中国のチップメーカーが保有する193nmプロセスのDUVを用いて、多重露光など特殊な方法で“実質的な7nmチップ”を造り出したかの2つの可能性が想定されている。

前者の場合は、中国の半導体受託製造(ファウンドリー)最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)が14nmプロセス実現後、10nmプロセスに相当する「N+1」と、7nmに相当する「N+2」プロセスを開発したと報じられており、 中国メディアは今回はSMICが手がけた可能性があると指摘している。

一方、後者の多重露光などを用いた193nmプロセスのDUVで生産するケースだと、時間・材料・工数・コストが大幅に増加し、歩留まりにも影響が出るため、どこのファンドリーが生産を請け負い、どう技術的に実現させたのかは大きな謎となる。

多重露光などを使ったDUVによる7ナノチップの生産は、台湾積体電路製造(TSMC)が2016年6月に着手。サムスンも17年に量産を始めている。

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