インドで「iPhone 15」生産開始、サプライチェーンの「脱中国化」進むか
電子機器受託製造サービス(EMS)大手の台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業は、インド南部タミルナド州の工場で、米アップルの次期スマートフォン「iPhone 15」の生産を開始した。インドが中国とほぼ同時にiPhoneの最新モデルを生産するのは初めて。アップルの「脱中国」の動きにつながりかねないとして、中国の部品サプライヤーはインドシフトに警戒感を強めている。
中国の澎湃新聞によると、インド基準局(BIS)のデータベースで「A3094」という型番のアップルのデバイスが発見されており、これがiPhone 15の型番とされている。
鴻海がインドで生産している現行モデルの「iPhone 14」は、出荷時期が中国工場よりも6~9カ月遅れていた。一方、「iPhone 15」に関しては、インド工場と中国工場の出荷時期のずれが軽微にとどまるとみられ、アップルの「脱中国化」の狙いが透けて見える。
アップルは中国依存を減らし、生産の重点を徐々にインドに移そうとしている。また、インド政府は、自国のサプライチェーン強化を狙い、パソコンとスマートフォンの輸入を制限するなど、製造業強化策を推進している。
米メディアによると、インドで生産されるiPhone 15の部品の多くは中国から輸入されるため、インドでの生産規模は部品の供給状況が決め手となる。インドメディアも、iPhoneのサプライチェーン(供給網)は中国に集中しており、中国から大量の原材料や部品を輸入する必要があると分析している。
中国のiPhoneサプライヤーがアップルの要請を受けるなどして、インドに工場を建設する動きが加速すれば、中国のアップルサプライチェーンが将来的にインドに大移動する事態も想定される状況だ。