CATLが新LFP電池、充電10分で航続400キロ実現
車載電池世界大手の寧徳時代新能源科技(CATL、福建省寧徳市)は16日、10分間の充電で400キロメートルを走行できる新型車載電池「神行超充電池」を発表した。フル充電時の航続距離は700キロメートルを超える。年末に量産に移行し、同電池を搭載したEVが来年第1四半期に発売される見通しだ。
「神行超充電池」は、新型のリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池で、CATLにとっては三元リチウム電池「麒麟電池」に次ぐ第2の急速充電バッテリー製品となる。安価なLFPを正極材に使うことで、製造コストを抑えた。麒麟電池はすでに、理想汽車と吉利傘下のEVブランド「ZEEKR」への搭載が発表されているが、いずれも高級車。「神行超充電池」の登場は、急速充電技術を大衆EVに活用するための道筋を作った。
長安汽車傘下の高級EVメーカーの阿維塔科技は同日、「神行超充電池」を初採用するEVメーカーになると宣言した。このほか多くのEVメーカーが「神行超充電池」の採用に向けCATLと商談を進めている。
■リン酸鉄リチウム電池も急速充電可能に
リン酸鉄リチウムイオン電池は三元リチウム電池に比べて、コスト面で有利だが、電池のエネルギー密度、充電速度、低温性能が劣るが、CATLは各種の技術的な改良を加えた。
正極の面では超電子ネットワーク正極技術を採用し、完全にナノ化されたリン酸鉄リチウム正極材料を使用。超電子ネットワークを構築し、リチウムイオンの出てくる抵抗を減少させ、充電信号の反応を速くさせたという。負極材料についても、CATLが新たに開発した第二世代高速イオンリング技術を採用し、グラファイトの表面を改質してリチウムイオンの埋め込みチャネルを増やし、埋め込み距離を短縮し、イオン伝導のための「高速道路」を構築。 同時に急速充電と航続距離のバランスを達成するために、多勾配層状ポールピース設計を採用している。
電解液の伝導性に関しては、新しい超高伝導電解液を開発し、電解液の粘度を効果的に下げ、伝導性を大幅に向上させた。分離膜の高気孔率と低曲率気孔を改善し、リチウムイオン液相輸送速度を向上させたとしている。
航続距離を伸ばすため、CTP3.0に基づいて高集積、高結合効率を実現する一体成型技術を開発し、リン酸鉄リチウムの性能上限を突破して700キロメートル以上の長距離航続を容易に実現できるようにしたとしている。
韓国の市場調査会社のSNEリサーチによると、今年上半期の車載電池搭載量は、CATLが前年同期比56.2%増の112ギガワット時(GWh)で、世界シェア36.8%を確保して首位を維持した。