中国が半導体材料輸出規制、関連製品の価格上昇か

中国政府は3日、半導体などの原材料となるガリウムとゲルマニウム関連品目の輸出規制を8月1日から実施すると発表した。中国はガリウムとゲルマニウムの生産量で共に世界トップ。中国が両品目の生産量と輸出量を厳格にコントロールするようになれば、関連製品の世界の貿易構造を大きく変え、価格上昇をもたらす可能性は排除できない。

ガリウムとゲルマニウムはいずれも重要なレアアースで、半導体や電気自動車(EV)の領域で幅広く活用されている。ガリウムは「半導体工業の新たな食糧」とも称され、ゲルマニウムもまた、重要な半導体材料の一つだ。

アメリカ地質調査所(USGS)の統計によると、ガリウムは、カザフスタンが2013年、ハンガリーが15年、ドイツが16年、ウクライナが19年に生産を停止し、世界のガリウム生産量に占める中国の比率は2021年に90%を超えた。

さらに中国は世界最大のゲルマニウム生産国でもあり、過去10年間の世界供給量の68.5%を中国が占めた。

中国は、ゲルマニウム酸化物と二酸化ゲルマニウムの輸出大国で、輸出量は輸入量をはるかに上回る。輸出先は、日本、フランス、スペイン、ドイツ、韓国、イタリア、米国などに広がる。

こうした背景もあって、専門家の間では今回の輸出規制について、先端半導体分野で対中輸出規制を強める米国、欧州などへの対抗措置とみる向きは大きい。

米政権は先端半導体の対中輸出規制について、日本など同盟国にも同様の規制の導入を求めている。日本は5月末、先端半導体の製造装置など23品目を輸出管理の規制対象とすることを発表し、7月23日から適用する。オランダは6月末、特定の先端半導体製造装置の輸出を制限する新たな規則を発表し、9月1日に発効する。これにより、深紫外線(DUV)を使った液浸露光装置の中国への輸出が制限される。

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