華為、阿里巴巴、騰訊など中国テック大手が光通信に相次ぎ投資 AI需要で市場拡大

中国のテクノロジー大手が、AI(人工知能)向けデータセンターの拡大を背景に、光通信分野への投資を加速している。華為(ファーウェイ)、阿里巴巴(アリババ)、騰訊(テンセント)、小米(シャオミ)、百度(バイドゥ)、中興通訊(ZTE)などが、光チップや光モジュール、光インターコネクト関連技術を手掛ける企業への出資を進めている。各社は自社の通信設備やクラウドコンピューティング事業との相乗効果を狙い、光通信サプライチェーンの上流から下流まで投資領域を広げている。

市場拡大の背景には、生成AIの普及に伴う計算需要の急増がある。大規模なAIモデルの学習や推論では、サーバー間で膨大なデータを高速に転送する必要があり、従来の電気信号による通信に加え、光を利用した高速・大容量通信技術の重要性が高まっている。TrendForce集邦諮詢は、2026年の世界のAI向け光トランシーバー市場が260億米ドルに達し、前年比57%超の成長になると予測している。

ファーウェイ、光チップ材料から特殊光ファイバーまで投資

通信伝送装置や光アクセス機器を手掛けるファーウェイは、自社の光通信事業に加え、傘下の投資会社である哈勃科技創業投資を通じて、光通信の上流分野への投資を進めている。対象は、リン化インジウム基板、薄膜ニオブ酸リチウム、VCSEL(垂直共振器面発光レーザー)などのレーザーチップ、特殊光ファイバー、高速コネクターに及ぶ。

上流材料分野では、2020年12月に哈勃投資が雲南鍺業の子会社である鑫耀半導体に3000万元を出資し、23.91%の株式を取得した。同社はリン化インジウムなどの半導体材料を手掛ける。

この投資先は2026年に入り、事業面での進展が目立っている。鑫耀半導体は2025年8月、九峰山実験室と共同で、6インチのリン化インジウム基板を用いたPIN型受光素子とファブリ・ペロー(FP)レーザーのエピタキシャル成長プロセスを開発した。光チップの製造コスト低減につながる技術として期待される。2026年7月には、リン化インジウムウエハーの供給契約を5億7000万元~8億5500万元で締結した。

光チップ分野では、源傑科技、長光華芯、弥爾光半導体などにも投資している。源傑科技はDFBレーザーやEMLレーザー、連続波(CW)光源チップを主力とし、800Gや1.6T対応の光モジュール向けに製品を供給する。データセンター事業の伸長とCW製品の出荷増を背景に、2026年上半期の親会社株主に帰属する純利益は6億700万元となり、前年同期比で1212.20%増加した。第3四半期も純利益が前年同期比で約6倍に伸びる見通しとしている。

また、深圳哈勃は2026年5月、リン化インジウムを用いた高速光チップに特化する弥爾光半導体に出資した。同社の製品は800G・1.6T対応のAIコンピューティング向け光チップをカバーし、高速光モジュールや昇騰(Ascend)AIサーバークラスター、CPO(光電融合)技術向けの用途を想定している。

特殊光ファイバー分野では、希土類添加特殊光ファイバーを手掛ける長進光子にも出資している。哈勃投資は同社の上場前に3.80%を保有していた。長進光子は2026年5月に上海証券取引所の科創板に上場し、上場初日の時価総額は600億元を超えた。

アリババ、クラウドとAI向けにシリコンフォトニクスを強化

アリババの投資は、クラウドコンピューティングやAI計算基盤の拡大に伴う高速接続需要と密接に結び付いている。主な投資対象は、シリコンフォトニクスを活用した光モジュールや光インターコネクトチップなどだ。海光芯正と曦智科技が代表的な投資先として挙げられる。

アリババは2022年12月、海光芯正のシリーズE資金調達に4000万元を出資した。同社は光モジュールやアクティブ光ケーブルなど、AIデータセンター向けの光電相互接続製品を提供する。2026年6月には香港証券取引所に上場し、公開価格は1株114香港ドル、上場時の時価総額は約102億香港ドルとなった。

海光芯正が注力する技術の一つがシリコンフォトニクスだ。同社は「less-change CMOS」と呼ぶ設計手法を採用し、シリコンフォトニクスチップを従来のCMOS集積回路と同じ12インチ製造ラインで生産できるようにすることで、製造コストの低減を目指している。高速光モジュールの需要拡大を追い風に、売上高は2023年の1億7500万元から2025年には12億2100万元へ増加し、年平均成長率は163.9%に達した。

もう一つの投資先である曦智科技は、光計算技術を手掛ける企業で、メディアから「世界のAIシリコンフォトニクスチップ分野で初の上場企業」と紹介されている。アリババは2026年4月、同社の香港上場に際して基石投資家として参加した。

曦智科技の主要製品の一つ「LightSphere X」は、分散型光スイッチングを活用したGPU超ノードシステムだ。すでに1000基規模のGPUを接続する複数のクラスターで導入されているという。

テンセント、データセンター内部の高速接続に照準

テンセントも曦智科技の主要投資家の一社だ。曦智科技は2025年9月に150億元を超えるシリーズC資金調達を完了し、メディア報道によるとテンセントも出資に参加した。上場関連資料では、テンセント傘下のTencent Mobilityが上場前に4.19%、上場後に3.56%の株式を保有している。

テンセントはこのほか、DPU(データ処理装置)チップやデータセンター向けネットワーク・ストレージの高速化ソリューションを提供する雲豹智能にも投資している。2021年4月以降、複数回の資金調達に参加し、重要株主となった。

さらに、高精度3D光学検査装置を手掛ける軽蜓光電にも出資した。同社は光通信モジュールの検査装置を製品群に含む。2022年11月にテンセント傘下の深圳市騰訊産業創贏有限公司が出資し、2025年にはシリーズAプラスの資金調達を実施した。

小米、百度、中興、聯想も参入 投資先の重複が進む

小米、百度、中興通訊、聯想(レノボ)なども光通信関連企業への投資を進めており、投資先がファーウェイ、アリババ、テンセントと重なるケースもある。一つの企業が複数の大手テック企業から資金を受ける構図が生まれている。

小米は海光芯正への投資でアリババと重なる。小米関連の投資主体は2024年7月と2025年7月にシリーズEおよびシリーズFプラスの資金調達に参加し、合計6000万元を出資した。

また、縦慧芯光や微源光子への投資ではファーウェイと重複する。小米傘下の湖北小米長江産業基金は2020年12月以降、縦慧芯光に出資。海南極目創業投資有限公司は2022年1月以降、微源光子に出資し、約6.48%の株式を保有している。

百度、中興、聯想の投資は、主に海光芯正や曦智科技などに集中しているが、参入時期には違いがある。海光芯正では中興が2020年12月のシリーズDから参加しており、アリババの2022年12月、小米の2024年7月以降の出資より早い。

曦智科技では、百度が2018年の初期資金調達に参加し、テンセントは2025年のシリーズCに出資した。2026年4月の香港上場時には、アリババ、中興関連企業、聯想創投も基石投資家として株式を引き受けた。初期の資金調達から上場に至るまで、投資の連鎖は約8年にわたっている。

AI計算需要が光通信への資本流入を促進

各社の投資方針には、それぞれの本業とのつながりが表れている。ファーウェイは通信設備事業を基盤に、上流の材料や光チップへと投資を広げる。アリババはクラウドコンピューティングとAI計算基盤を軸に、シリコンフォトニクスや光インターコネクトを強化。テンセントはデータセンター内部の高速接続を重視し、光インターコネクトや光計算技術に照準を合わせる。

投資先や技術分野は異なるものの、各社が見据えるのはAI計算需要の拡大に伴う光通信市場の成長だ。AIデータセンターの大規模化が進めば、サーバー間の通信速度や電力効率を高める光モジュール、光チップ、光電融合技術の重要性は一段と増すとみられる。

TrendForce集邦諮詢は、2026年の世界のAI向け光トランシーバー市場が260億米ドルに達し、前年比57%超の成長を遂げると予測している。需要拡大を背景に、中国テック大手による光通信分野への投資と技術開発は今後も続く見通しだ。

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