長シン存儲がDRAM高密化で「4F²」採用、米マイクロンは見送り

中国メモリー半導体大手の長シン存儲(CXMT)がDRAMの高密度化に向けて「4F²」アーキテクチャを打ち出したのに対し、米メモリ大手のMicron Technology(マイクロン・テクノロジー)は採用を見送り、「実質的なメリットはない」との見解を示した。同社は、複雑さとコストの増大を理由に、従来の「6F²」方式を継続するとともに、3次元(3D)DRAMの開発を進める方針だ。

マイクロンは現地時間21日に開催した技術説明会で、DRAMの技術開発や今後の製品ロードマップについて説明した。同社のスコット・デボーア社長兼最高技術・製品責任者(CTPO)は、長鑫存儲が今月初めに発表した4F²アーキテクチャについて、同社として採用する考えはないと明らかにした。

4F²方式は、現在主流の6F²方式と比べ、単位面積当たりのトランジスタ密度を高められるとされる。製造プロセス上の制約を一定程度克服できる技術として、発表後、海外でも注目を集めていた。

これに対し、デボーア氏は、マイクロンが4F²方式を20年間研究してきたものの、実用的な微細化の道筋を見いだせなかったと説明。「この方向に進んでも、実質的なメリットはない」と述べた。

同氏は、DRAMのウエハー当たりの記憶容量を左右する要因について、業界内で用語や技術の捉え方に誤解があると指摘した。記憶容量の理論的な上限を決めるうえでは、キャパシター(コンデンサー)の間隔やサイズなどの寸法が重要になるという。キャパシターの間隔を前提に、4F²または6F²の構造を最適化し、所定のキャパシターサイズに適合させることができると説明した。

そのうえで、最も重要なのは、一定のキャパシター間隔のもとで製造プロセスとコストをいかに最適化するかだと強調。4F²と6F²の優劣を巡る議論には「実態を誤認させるような側面もある」との見方を示した。

マイクロンは6F²方式を軸に、製造技術の高度化を進める。デボーア氏によると、「1γ(ガンマ)」世代では極端紫外線(EUV)リソグラフィー装置を導入する。「1δ(デルタ)」世代は歩留まりの改善を進めており、2027年に量産立ち上げを本格化させる計画だ。「1ε(イプシロン)」世代は開発中で、ウエハー接合技術を採用する。さらに次世代では高開口数(High-NA)EUV装置を導入し、その次の世代については新材料の採用を含めて技術ロードマップを検討している。

1γ世代では、直径50マイクロメートルの髪の毛の幅に1500個以上のキャパシターを並べられるという。1δ世代のビット密度は1γ世代に比べて20%以上高まり、差別化した広帯域メモリー製品の開発を支える。対象にはHBM5のほか、垂直型広帯域メモリー「vHBM」、垂直型エッジ推論メモリー「vEIM」などが含まれる。

マイクロンは1995年から2026年までに、計22世代のDRAM製造プロセスを投入してきた。

同社は3D DRAMの開発も進めている。DRAMの平面方向での微細化が進み、メモリーセルが原子レベルの限界に近づくなか、今後は構造を垂直方向に積み重ねる技術が必要になるためだ。

高帯域幅メモリー(HBM)についても、世代交代に合わせて3次元化とカスタマイズを進める。マイクロンは2026年にHBM4を投入し、2027~2030年にかけてHBM4E、HBM5、HBM5E、HBM6を順次投入する計画だ。同時期には、vHBM1からvHBM3、vEIM1からvEIM3への世代交代も進める。

デボーア氏によると、標準的なHBMはインターポーザーを介して演算用半導体の隣にメモリーを配置する。一方、vHBMはメモリーを演算用半導体の上に直接積層することで、両者間のデータ伝送経路を最短化する。カスタムHBMは、顧客と共同で設計する点が特徴となる。

カスタムHBMでは、ベースダイの設計が重要な要素となる。米エヌビディアは8月、メモリーコントローラーをカスタマイズしてHBMのベースダイに組み込む「NVHBM」の構想を打ち出した。メモリーコントローラーを演算用半導体側に配置する必要がなくなれば、演算用半導体の面積を計算処理により多く割り当てられる。

市場では最近、エヌビディアがメモリー供給各社に対し、台湾積体電路製造(TSMC)の3ナノメートルプロセスで製造したベースダイをNVHBM向けに採用するよう求めているとの情報も浮上している。

デボーア氏は、ベースダイについて、メモリーの中核ロジックと演算ロジックが交わる部分だと説明した。カスタムHBMでは、ベースダイ上のロジックを活用することで、製品ごとの機能を差別化できるという。HBM4E以降は、共通の最低基準を定めるJEDEC規格を土台としながら、顧客ニーズに応じたカスタマイズを進める方針だ。

メモリー技術の進化と需要拡大のスピードについても言及した。エヌビディアのGPU「H100」から「B300」までの世代交代では、GPU1基当たりのHBM搭載量が3.6倍に増加したという。また、1995年のポルシェ911の価格や性能を基準に、メモリー技術の進化を自動車に例えて説明した。メモリーの進化ペースを同様に当てはめると、2026年には「270万馬力、価格5ドル、燃費は1ガロン当たり2万3000マイル」に相当するとし、「航空母艦10隻分の動力に匹敵する」と表現した。

さらに、2026年時点でHBM4を100スタック搭載した場合、その合計帯域幅は世界のインターネット全体の帯域幅に匹敵する規模になると指摘した。

AIの普及によって高性能メモリーへの需要が拡大するなか、マイクロンは4F²方式による微細化ではなく、6F²方式の継続や3D DRAM、HBMの積層・カスタマイズ技術を通じて競争力の強化を目指す。DRAMの高密度化を巡っては、単純なセル構造の比較だけでなく、製造コストや歩留まり、演算用半導体との統合を含めた総合的な技術戦略が問われている。

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