中国AI演算力の海光・曙光が合併へ、垂直統合で米NVIDIAに挑む

中国半導体および高性能計算(HPC)分野における注目企業の海光信息技術股フン(HYGON、北京市)と中国科学院系のスーパーコンピューター開発・生産大手、曙光信息産業(中科曙光、天津市)が25日夜、戦略的再編を発表した。海光信息が中科曙光を株式交換により吸収合併する。これにより、国産AI(人工知能)チップからハードウェア、ソフトウェア、システム全体に至る一貫した産業チェーンが構築され、国産AI演算エコシステムの統合が本格化するとされている。

海光信息は、米Intel(インテル)が開発したマイクロプロセッサ「x86」アーキテクチャの永久ライセンスを取得した国内唯一の企業で、CUDA互換のDCU(Data Center Unit)を備える設計力を強みに持つ。すでに同社の製品は、AI開発企業の杭州深度求索人工知能基礎技術研究(DeepSeek)や阿里巴巴集団(アリババ・グループ)などが開発する大規模言語モデル(LLM)と互換性を確保しており、技術の信頼性が実証されている。

一方、中科曙光は高性能サーバやクラウドコンピューティング分野で長年にわたって実績を築いており、特にPUE(電力使用効率)が1.04に達する液冷技術では国内トップクラスの能力を誇る。

今回の合併により、半導体チップからシステム、運用サービスに至るまで、全方位での国産化と協調が可能になる。中国製AIインフラの競争力は一段と高まり、演算力市場における「NVIDIA(エヌビディア)一強」構造への挑戦が現実味を帯びてきた。

脱「代替品」から「主力選択肢」へ

現在、米国政府は中国への先端半導体技術の輸出規制を強化しており、海光信息と中科曙光の再編はその封鎖に対する「産業面からの反撃」とも言える。このような垂直統合とエコシステムの再構築は、中国企業がAIチップを単なる「西側の代替品」から「本命の選択肢」へと昇華させる転換点となるとみられる。

特に、海光信息のDCUはFP64(倍精度浮動小数点)演算にも対応しており、すでに8,000を超えるソフト・ハードウェアとの適合性を持ち、5,000社以上のパートナー企業とのエコシステムを構築済みだ。これは単なる半導体企業の枠を超えた、自立型AI計算基盤の構築と評価されている。

国内AI企業の再編加速へ

この海光と中科曙光の事例は、他の国内AI演算力企業にも連鎖的な統合の動きを促す可能性がある。例えば、CPU(中央演算装置)開発の龍芯中科技術(Longxin、北京市)は後工程(封止・検査)企業を買収することで製造工程の内製化を進め、製品性能の引き上げが可能となる。飛騰信息技術はARMアーキテクチャをベースとしており、研究開発(R&D)リソースや販売チャネルの統合により、ARMエコシステム内での競争力を強化できる。こうした再編は、GPU、通信、メモリ、ソフトウェア、クラウド連携に至るまでの包括的なAI演算スタックの形成を可能にし、最終的には国産演算力の「体系」構築へとつながるとみられる。

NVIDIAがMellanoxを買収し、GPU(画像処理半導体)にとどまらずデータセンターやネットワーク全体を巻き込んだ「総合AIプラットフォーム」企業へと進化したように、今後の中国企業も、AIインフラを包括的に提供できる存在へと成長していく道を突き進むとみられる。

曙光信息产业股份有限公司 关于筹划重大资产重组的停牌公告

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