台湾・日月光と友達光電、米国進出を計画=トランプ関税対策で

台湾経済日報の報道によると、半導体封止・検査事業を手がける台湾の日月光投資控股(ASEテクノロジー・ホールディング)と、台湾の液晶パネルメーカー、友達光電(AUO)が、米国での製造拠点設立を検討していることが明らかになった。4月30日に開催された各社の決算説明会にて、それぞれがこの方針を示した。
日月光投控の最高財務責任者(CFO)である董宏思氏は、「顧客の要請を受けて、米国に生産能力を設けることを積極的に議論しており、非常に関心が高い」と語った。一方、友達の彭双浪董事長(会長)は、「米国での後工程モジュールまたは完成品組立工場の設立を検討している」と述べた。
関係者によると、日月光の米国進出が実現すれば、台積電(TSMC)の米国工場との連携が期待され、先進パッケージング分野での受注拡大が見込まれる。これは、台湾の半導体エコシステムが米国市場で勢力を拡大する足掛かりともなる。一方で、友達が「アメリカ製造」への旗印を掲げるのは台湾のパネル業界では初となる。
現在、日月光は米国内にオフィスを構えているものの、生産拠点はない。友達に至っては米国内での製造拠点自体を持たない状況だ。両社の米国進出は、トランプ政権が引き起こした関税戦の影響を軽減するための施策とみられる。
董氏は、まだ具体的な投資規模や時期については未定としながらも、「米国における経済性と市場の状況次第で最終判断する」と説明。投資は台湾で提供している既存サービスの延長になる可能性が高いとしつつも、詳細は市場動向に左右されるとした。
一方で関税の影響については、顧客の一部が前倒しで発注する動きがあったものの、受注全体には大きな変化はないという。現在、米国向けの直接出荷は日月光の電子製造サービス全体の1割未満にとどまり、製造拠点の調整によってリスクは管理可能との見方を示した。