米関税に対抗、中国の強硬姿勢が切り開く新局面

米トランプ大統領の関税引き上げに反発する中国の姿勢が、新しい局面を切り開いている。中国は対米報復関税を課すなど反撃に出ると同時に、国力の再構築と市場の開拓という2つの組み合わせ策によって、状況を打破し始めている。

中国青年報が25日伝えた。国際サプライチェーンへの依存度が高い航空業は、トランプ関税の“乱気流”に巻き込まれている。米ボーイング社は23日、関税が理由で中国の顧客が航空機2機の納入受け入れを拒否していると明らかにした。ほぼ同じ時期、中国の旅客機メーカー、中国商用飛機(中国商飛、COMAC)によると、同社が製造した中国産旅客機「C909」がベトナムの国内路線に新たに導入された。これによりC909は、インドネシア、ラオスに続き東南アジア3カ国目の進出を果たした。

中国人民大学重陽金融研究院マクロ研究部主任の蔡彤娟氏は、「中国の自主開発能力の向上は、国内企業の改革の深化とリスク対応力の強化を促し、世界貿易の枠組みの新たな可能性を切り開く」と述べた。

中国工業和信息化部はこのほど、機械、自動車、電力設備の3業界を安定的に発展させるための新たなガイドラインを出すと発表した。重点業界の技術改良と設備更新を推進し、供給と需給の両サイドのアプローチで、全方位的な内需拡大を推し進める方針を示した。

貿易面でも、市場拡大の可能性が広がっている。中国税関総署は昨年末、ASEANと中国との自由貿易協定(ACFTA)のアップグレード(ACFTA3.0)交渉の実質的妥結を発表した。デジタル経済、グリーン経営、サプライチェーンの相互接続などの新興分野で提携する。

また商務部は、中国とEUの双方が、電気自動車の反補助金案件に関する価格承諾交渉を早期に再開することで合意したと発表した。中国と欧州の企業が投資や事業提携をしやすい環境を整えることが狙いだ。

国際通貨基金(IMF)が、米関税政策の突然の変更と、それによってもたらされた不確実性を考慮して、2025年の世界全体の実質成長率を2.8%に下方修正するなか、中国市場が示す“確実性”は、成長のチャンスとして注目されている。中国国家統計局によると、今年第1四半期(1~3月)の中国の国内総生産(GDP)成長率は前年同期比5.4%で、世界主要国で最高だった。

中国で先ごろ開かれた2つの見本市(第5回中国国際消費品博覧会と第137回中国輸出入商品交易会)は、出展したブランドと企業の数がいずれも過去最高だった。

中国の反撃を受けるなか、米政府のスタンスには変化が生じている。トランプ大統領は22日、対中関税について「145%は極めて高い」と述べ、引き下げも視野に入れていることを示唆した。ベッセント米財務長官は同日、「関税を巡る中国との対立は米中にとって持続不可能」と述べた。

これに対し中国の郭嘉昆報道官は、米国が発動した関税戦争に関し、中国の立場は明確であり、中国は戦いたくはないが、戦うことを恐れてもいない。もし米国が関税戦争に固執するのであれば、最後まで付き合うし、交渉するのであれば、扉を大きく開く」と述べた。

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