SKハイニックスとサムスン、中国製EDAの使用を禁止か

韓国半導体最大手のSKハイニックスが、中国の半導体電子設計自動化(EDA)ソフトウエアの適用可能性を緊急に検討していると、韓国The Korea Economic Dailyが16日に報じた。トランプ第2次米政権の韓国半導体企業による中国製ソフトウエアの使用制限に対処するための先制的な動きだと指摘している。
韓国hankyungによると、SKハイニックスの緊急検査は、トランプ政権が対中制裁を強化することへの対応が主な理由だ。一部のアナリストは、2024年12月2日に新たに発表された米国の対中半導体輸出規制の対象企業リストに、中国のEDA企業である北京華大九天科技(Empyrean、北京市)の韓国支社が追加されたことも影響しているとみている。
SKハイニックスは24年8月、米政府の「CHIPSおよび科学法(CHIPS法)」を通じて最大4億5000万米ドル(約6840億円)の直接融資と、インディアナ州に新しい半導体パッケージング生産拠点を建設するための5億米ドルの融資の可能性があると発表している。SKハイニックスは米国における会社の利益を守るため、関連する米国の政策指針を遵守しなければならないと考えていることが、中国製EDAの排除につながっているという。
またSKハイニックスの製造工程における中国のEDAが占める割合が比較的小さいことも理由の一つだ。 2022年から華大九天や概倫電子など中国のEDAを利用してきたサムスン電子も同じ決断を下すと予想されている。
EDAとは、システム半導体集積回路(IC)の設計や検証に使われるソフトウェアの一種で、半導体チップを製造する前にさまざまな回路設計をシミュレーションし、結果を予測するために使われる。
世界のEDA市場は、シノプシス(Synopsys)、ケイデンス(Kadence Electronics)、シーメンスEDAなどの米国企業が市場の70%以上を占めている。近年は、華大九天や概倫電子(上海市)など中国EDAが台頭を続けており、シェアが上昇している。主に米国製品を使用していたサムスン電子とSKハイニックスは近年、よりコスト効率の高い中国製EDA製品を採用し始めていた。
華大九天のアナログ回路設計ツールについては、サムスンのサプライチェーンに入り、概倫電子のデバイス・モデリング・ソフトウエアは半導体受託生産(ファウンドリー)世界大手の台湾積体電路製造(TSMC、台積電)の5ナノメートル(nm)生産ラインに採用されるとの噂もある。
ある業界関係者は、「米国EDAに匹敵する性能を持ちながら価格が半分以下の中国製品が淘汰されれば、サムスン電子とSKハイニックスの設計関連コストは最終的に上昇するだろう 」と予測した。
中国電子設計自動化(EDA)ソフトウエア産業詳細分析によると、23年現在、中国のEDA市場規模は120億元(約2503億2000万円)に達し、世界のEDA市場の約10%を占め、24年には135億9000万元に、25年には184億9000万元に達すると予想されている。