「AIの次はロボティクス」、 エヌビディアのファンCEO

米半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)のJen-Hsun Huang(ジェンスン・ファン)最高経営責任者(CEO)はこのほど、AI(人工知能)に続く次の巨大成長機会として、ロボティクス(ロボット技術)を挙げた。自動運転車がその商業的応用の第一歩となるとし、将来の成長エンジンとしての期待を語った。
ファン氏はエヌビディアの年次株主総会で、「我々の会社には数多くの成長機会があるが、その中でもAIとロボティクスは最大規模の領域で、数兆米ドル規模の成長が見込める」と述べた。
エヌビディアは1年以上前、自動車部門とロボティクス部門を一つの事業カテゴリーに統合。今年5月には、この部門の四半期売上が5億6700万米ドル(約816億4800万円)に達し、全体売上の約1%を占めた。前年同期比では72%の成長となり、着実に存在感を高めている。
エヌビディアの売上は過去3年間で飛躍的に拡大した。背景には、ChatGPTなどの高度なAIチャットボットを支えるデータセンター向けGPU(画像処理半導体)の旺盛な需要がある。売上は23年度の約270億米ドルから、24年度には1305億米ドルへと急増。ロンドン証券取引所(LSEG)によれば、25年には2000億米ドルに達する見通し。
6月19日には同社の株価が過去最高値を更新し、時価総額は約3兆7500億米ドルに到達。Microsoft(マイクロソフト)をわずかに上回り、一時的ながら世界で最も時価総額が高い企業となった。
現時点ではロボティクス事業の規模はまだ小さいものの、フアン氏は自動運転車やロボットに搭載されるAIソフトのトレーニングに同社のデータセンター用AIチップが不可欠であると強調。また、車載向けチップ「Drive」やドイツの高級自動車メーカー、メルセデス・ベンツが導入する自動運転ソフトウェア、ヒューマノイドロボット向けAIモデル「Cosmos」などの開発も進めている。
ファン氏は「我々の目標は、何十億台ものロボット、何億台もの自動運転車、そして何万ものロボット工場がエヌビディアの技術で動く世界を実現することだ」と強調した。
さらに、エヌビディアがAIチップにとどまらず、ソフトウェアやクラウドサービス、ネットワークチップといった補完技術を提供する企業へと進化していることを強調。「NVIDIAはもはや単なるチップメーカーではなく、『AIインフラ』『計算プラットフォーム』の提供企業だ」と語った。