中国AIモデル「DeepSeek」、自動車各社が続々導入へ

中国のAI(人工知能)開発企業、杭州深度求索人工知能基礎技術研究(DeepSeek、ディープシーク、浙江省杭州市)が開発したオープンソースのAIモデル「DeepSeek」は、活用シーンが自動車分野へと広がっている。同AIモデルが自動車に搭載されることで、AI実装の自動車スマート化が一段と進展しそうだ。
2月10日時点で、比亜迪(BYD)、吉利汽車、奇瑞汽車、東風汽車、長安汽車系電気自動車(EV)メーカーの深藍(Deepal)、長城汽車、零跑汽車、上海汽車集団などの自動車各社の傘下約10ブランドが競うようにDeepSeekの導入を宣言した。
具体的には、自社の大規模言語モデル(LLM)にDeepSeekを融合させる動きが主流だ。吉利汽車は6日、「自社開発の『星睿』とDeepSeekとの深い融合を完了した」と発表した。これにより同社のAI搭載車は、ユーザーの漠然とした指示を正確に理解すると同時に、車内外の情報からユーザーの潜在的ニーズを自ら分析し、車両制御、能動的対話、アフターサービスなどの一連のサービスを提供できるようになったという。
上海汽車傘下のEVメーカー、飛凡汽車科技も、「DeepSeekを量産車に実装することで、ユーザーの漠然とした思考や、隠れた需要を理解・予測する精度が上がり、ユーザーによりスマートなコックピットインタラクティブエクスペリエンスを提供できるようになる」とコメントした。
北京社会科学院の王鵬副研究員は、新京報に対し、「DeepSeekが自動車に搭載されることで、車載システムでAIビッグモデルが動作するための基礎となる車載コンピューティングプラットフォームやセンサー、カメラなどのハードウエア産業が活発化する。AIビッグモデルの機能を実現する鍵となるアルゴリズム開発や車載オペレーティングシステム、ミドルウェアなどソフトウエアも重要。車載システムにおけるAIビッグモデルの広範な応用は、スマートナビゲーション、音声アシスタント、パーソナライズド・エンターテインメントなどの一連の付加価値サービスを生み出す」と期待を示した。
新京報の取材でDeepSeekは、「今後、自動車業界にどのような変革をもたらすか」との問いに対し、「ステアリングを握ったドライバーのバイタルサインをリアルタイムに計測し、アテローム血栓性脳梗塞の危険を感知すれば自動運転で最寄りの病院に向かい、ドライバーを突然死から守れるようになる」と予測。自動車製造の現場においても、リスク回避のための「テクノロジー・ロードマップ」の作成や、開発の短縮、ゼロエフェクト(不良品ゼロ)を実現できると展望した。