華為、東莞市の新拠点に30億元を投資 ロボット生産か

中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ、広東省深セン市)が広東省東莞市黄江鎮に900ムー(約60万平方メートル)の広大な土地を確保し、新拠点「極目科技園」の建設を進めている。ヒューマノイドロボットの生産拠点とみられている。

同拠点の登記会社である東莞極目機械は華為技術の全額出資子会社で、2023年6月の設立。事業範囲は電子部品製造、その他の電子デバイス製造、技術サービスなどとなっている。華為は24年12月初め、東莞極目機械に30億元(約646億8000万円)を増資した。登録資本金は347%増の38億9000万元となった。ヒューマノイドロボット事業の拠点となるとみられている。

広東省能源局の資料によると、極目機械はカメラモジュール年産2400万セットと光学カメラレンズ年産1200万セット規模の生産ラインを建設する。主な設備はコーティング機、配置機、射出成形機、ガスボイラーなど。

ただ中国のメディアなどによると、極目機械は華為のヒューマノイドロボットを製品化する拠点で、サプライヤーの関係構築や生産販売のエコロジー構築を担うという分析も出ている。

ヒューマノイドロボットに先手

華為は早くからヒューマノイドロボットの開発を進めている。17年には英エジンバラ大学、日本のソフトバンクと共同で「AI+ロボット」に関する研究開発(R&D)業務を行うことで提携した。

23年には石炭採掘の中国煤炭科工集団(中国煤科)、コンピュータービジョンの杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)、AI(人工知能)ベンチャー、安徽科大訊飛信息科技(iFLYTEK、安徽省合肥市)と共同で、採掘現場を無人で安全監視ができる検査ロボット「領航者3 検機械人」を発表した。同検査ロボットは、炭鉱の変電所や給水ポンプ室などの複雑な環境向けに設計されており、柔軟な動きが可能で、狭い地面や凹凸のある地面でも効率的に障害物を越えることができるという。

華為は2024年6月に開いたカンファレンス「華為開発者会議」で、「誇父」と名付けられたヒューマノイドロボットを発表した。物体の識別、質疑応答、水の手渡しなど一連の能力を披露した。

「誇父」は、華為が提携しているヒューマノイドロボット開発の楽聚機械人(広東省深セン市)が華為の独自開発のオープンソースの基本ソフト(OS)「鴻蒙(HARMONY OS)」を使って開発した家庭用ヒューマノイドロボット。楽聚機械人はすでに汎用ヒューマノイドロボットや二足歩行ヒューマノイドロボットなどの製品を発表している。

華為は同年11月には、ヒューマノイドロボットの開発拠点「華為(深セン)全球具身智能産業創新中心」の運営を開始した。楽聚機械人、兆威機電、大族機械人などロボット関連会社16社と提携関係を結んだ。

ソフトウエアでは、大規模言語モデル(LLM)を使った産業向け生成AI「華為盤古大模型」のほか、同社のAIプロセッサ「昇騰(Ascend)」向けのコンパイラソフトウエア「卒昇編譯機(bisheng compiler)」を開発。ハードウェアレベルでは、制御システム、検査ロボット、ロボット安全保護システムなどの分野で特許を取得している。

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