BYDが先進R&Dセンター設立、AIやLLMの開発加速
中国電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD、広東省深セン市)は、EVスマート化への新たな投資段階に入った。「先進技術研究開発(R&D)センター」を設立し、AI(人工知能)や大規模言語モデル(LLM)などの技術開発を進め、自動運転やスマートコックピットなどの各開発事業を支援する。
報道によると、同R&Dセンターは、従来の完成車シミュレーション技術部、ビッグデータプラットフォーム部などを統合して9月末に設立された。R&Dセンターは、スマート・ドライビングのような部門のさらに上流部門の位置づけで、AI計算力やAIアルゴリズムといったリソースを集中・統一させて、BYDのAI関連技術の研究開発と応用のペースを速めることを狙う。現在の従業員数は500人だが、今後1000人規模に拡充する。計算能力の高いGPU(画像処理半導体)を搭載することで、高度なスマートドライブを実現するとみられる。
同R&Dセンターは、BYDの中核技術開発プラットフォームである自動車新技術研究院の一級部門に位置付けられる。同技術院は、自動運転、スマートコックピット、BYD独自のPHEV(プラグインハイブリッド)技術「DM(Dual Mode)」を3大中核業務としている。
さらに、BYDはスマート関連部門もさまざまな組織再編を行なっている。今年初め、スマートドライブR&Dセンター、スマートコックピット向けソフトウエアおよびハードウエアR&Dセンターなどの部門を統合し、「スマート技術研究所」を設立した。9月末にも、DMのR&D開発センターをDM技術研究所に格上げした。
BYDの王伝福会長は11月、今後はAIとEVを組み合わせたAIスマート技術に1000億元(約2兆1500億円)を投資すると述べている。
■市場での技術有効性
BYDは投資基準として、市場競争における技術の有効性判断基準としている。ある技術が売上を伸ばすことが証明されれば、より多くの人材と資金、リソースを投入してきた。
例えば、第4世代のDM技術は燃費は同等の内燃機関車の約半分にすることに成功し、BYDのPHEV車種の販売を大きく伸ばす原動力となった。以後、BYDは第5世代のDM技術を開発するために、1万人近いエンジニアと3年を投資している。
鳳凰網によると、BYDの幹部はすでに電動化市場で優位性を形成できた一方、「ChatGPT」などの生成AI製品などAIのトレンドは抗しがたいものとしてスマート化への投資を本格的に拡大するタイミングと判断した。向こう2年以内に10万元以下の全モデルに高レベルのスマート運転機能を搭載する計画だという。
中国工業情報化部が発表した新車申告によると、BYDは25年に「海豚(ドルフィン)」「海獅(シーライオン)05EV」「秦PLUS DM-i」などの車種モデルにスマートドライビング機能が搭載される予定だ。コックピットやDM技術に使用されるソフトウエアシステムの割合も増加している。