中国配車サービスの滴滴、EV事業を「断捨離」
中国ネット配車サービス最大手の「滴滴出行(DiDi Chuxing)」(以下、滴滴)が、電気自動車(EV)開発・製造事業からの引き揚げを進めている。このほど、スマートコックピットシステム開発に関連する事業資産の本体からの引き離しを決定した。滴滴は2021年にEV生産プロジェクト(コードネーム「ダビンチ」)を立ち上げたが、昨年にスマートEV開発部門を小鵬汽車に売却した。今回の動きも、EV事業の“断捨離”に向けた取り組みの一環とみられる。毎日経済新聞が28日伝えた。
カーナビゲーションシステム開発の北京四維図新科技は28日、滴滴とともに、スマートコックピットシステムなどを手がける子会社、南京四維智聯科技(以下、四維智聯)に追加出資すると発表した。滴滴は、スマートコックピット部門である「睿聯星晨(北京)科技」の全株式と現金2億2000万元(約44億円)を出資の対価とする。
情報筋によると、この取引により、スマートコックピットの技術開発に当たるエンジニアを中心に、滴滴グループの社員300人が四維智聯に移籍される見通しだ。これら社員の多くは、「ダビンチ」プロジェクトに関わっていたとの情報もある。
四維智聯は、北京四維図新科技のICV(Intelligent Connected Vehicle)部門から独立したスマートコックピットソリューション企業。滴滴は2018年、四維智聯に出資参画した。
滴滴はスマートEV開発部門を小鵬汽車(シャオペン)に売却した昨年以降、EV自社開発の“夢”を諦めつつある。今年3月の2023年12月期決算報告で同社の程維董事長兼最高経営責任者(CEO)は、「24年は引き続き本業に専念する」と宣言した。EV事業の「断捨離」効果は業績面にも表れており、8月に発表した今年第2四半期(4~6月)決算は、16億9700万元の純利益を計上し、前年同期の500万元の赤字から黒字に転換した。