中国メモリー4社の上期は大幅増益、AIブーム追い風
中国の半導体メモリー大手4社の2024年上半期(1~6月)業績が出そろった。シリコンサイクルの回復や、人工知能(AI)ブームを背景にいずれも大幅増益となる好内容で、瀾起科技(モンタージュ・テクノロジー)の純利益は前年同期の7倍だった。
瀾起科技が26日発表した上期業績は、売上高が前年同期比79.4%増の16億6500万元(約337億円)、純利益が624.6%増の5億9300万元だった。最新のメモリー規格「DDR5」の普及が進むなか、メモリインターフェイスユニットとモジュールチップの売り上げが大きく伸びた。AIブームを受けて、第1四半期(1~3月)の高性能チップ3種の売上高が前期比で倍増となったことも好業績につながった。
同日に上期業績を発表した深セン江波龍電子(シェンジェン・ロンシス)は、売上高が143.8%増の90億3900万元、純利益が199.6%増の5億9400万元だった。シリコンサイクルが回復に向かうなか、フラッシュメモリー、SSD(ソリッドステートドライブ)、スマートフォン用モバイルメモリー、メモリースティックのいずれの部門も売り上げを伸ばした。法人向けのメモリー製品の売上高は前年同期の21倍の2億9100万元に達した。昨年下半期に買収したブラジルZilia社と元成科技(蘇州)からの利益貢献もあった。
深セン佰維存儲科技(ビウィン・ストレージ・テクノロジー)が23日発表した上期業績は、売上高が199.6%増の34億4100万元、純損益は2億8300万元の黒字に転換した。データ処理需要の拡大、メモリー製品を巡る国内サプライチェーンの構築、およびAI技術革命の3要素がハイエンドメモリーの需要を大幅に増やし、国産メモリー産業に巨大な商機をもたらしていると報告した。
北京兆易創新科技(兆易創新)の上期業績は、売上高が21.7%増の36億900万元、純利益が53.9%増の5億1700万元だった。市場需要の回復が販売増をもたらした上、研究開発投資の拡大や新商品の投入が競争力を向上させたとしている。
中国のメモリー企業が生産する製品は、DRAMとNAND型フラッシュメモリ(以下、NAND)に大別される。今年はAIやハイパフォーマンスコンピューター、データセンターなどの領域での需要増がメモリー業界の好況を持続させる原動力となった。
中でもDRAM業界は、大幅な増収と、価格の上昇トレンドが顕著だ。調査会社トレンドフォースによると、主流製品の出荷増を受け、今年4~6月期のDRAM業界の売上高は前期比24.8%増の229億米ドルだった。
DRAM価格の上昇は、データセンターや、AIスマホ・AIパソコンといったオンデバイスAIの需要拡大、およびAIサーバーに搭載する高性能のHBM(High Bandwidth Memory)の供給不足を背景に、DRAM需要家が積極的な調達姿勢に転じたことがある。
フランスの調査会社Yole Developpement社は、長期的な見通しとして、2029年の世界のDRAM市場規模は1340億米ドルに達し、23~29年のCAGR(年平均成長率)は17%になると予測。データセンターやクラウドコンピューティング、5G(第5世代移動通信システム)など領域の持続的な成長と、世界の半導体サプライチェーンの回復を受け、27年のメモリー市場は2630億米ドル規模に達するまでの成長余地があると見込んだ。