次世代半導体GaNの用途に期待、中国チームは量子光源の素材に活用

英諾賽科のインチGaN-on-Siエピバッファー(同社ウェブサイトより)

次世代パワー半導体の新素材としての窒化ガリウム(GaN)の応用展開に業界の注目が集まっている。中国の研究チームはこのほど、GaNを材料に用いた量子光源の開発に世界で初めて成功した。

省エネ化や高効率化が期待できるGaNパワー半導体は、2030年には半導体市場を主導するようになると予測されている。23年のGaNパワー半導体の世界市場規模は17億6000万元(約379億円)と、19年比で88.5%拡大した。GaN半導体の中国大手、英諾賽科(蘇州)科技(イノサイエンス)は香港証券取引所への上場目論見書で、同市場規模は24年の32億2800万元から28年に501億4200万元に拡大すると予測。うち民生用電子機器向けの市場規模は、24年の24億6600万元から211億3300万元に膨張すると見込んだ。

GaNパワー半導体の応用は、急速充電器の分野で最も進んでいるが、データセンターや製造業の領域でも徐々に実用化が始まっている。最大の課題であるコスト高を解消するための技術開発も進んでいる。OKIと信越化学は昨年9月、低コストな縦型GaNパワーデバイス実現につながる新技術を開発したと発表した。新技術を用いた縦型GaNパワーデバイスが実現すれば、既存技術と比較しコストを約10分の1に低減可能だという。

GaN技術への期待はM&A(合併・買収)市場にも反映されている。多くの企業がGaNの競争力向上を狙い、M&Aを進めている。海外では、インフィニオン・テクノロジーズが23年10月にGaNパワーデバイスを手掛けるカナダのGaN Systemsを買収したほか、ルネサスエレクトロニクスが24年1月、GaNパワー半導体を手掛ける米Transphormを買収すると発表した。

英諾賽科はこのほど、香港証券取引所への上場に向けた目論見書を提出した。中国の株式市場では今のところ大きな資本の動きはないものの、天風証券の趙暁光副総裁は先ごろの講演で、「中国の半導体産業はM&Aの黄金時代を迎えた」と述べた。

英诺赛科(苏州)科技股份有限公司

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