地方の経済政策、「新質生産力」に焦点=中国
中国の習近平国家主席が掲げる新スローガン「新質生産力(新たな質の生産力)」が、地方の経済政策に浸透してきた。地方政府や業界団体の間で、新質生産力の育成に的を絞った発展目標やその実施プランが続々と発表されている。
新質生産力は、イノベーションの主導によって、新たな質の高い生産力を形成することを指し、「ハイテク、高効率、高品質」を新たな成長エンジンとすることを特徴としている。新質生産力の形成は、情報技術、ハイエンド製造業、バイオ医薬、新エネルギー、戦略性新興産業、未来産業などにおいて、より高効率でスマートかつ環境に対応した生産方式やサービスモデルの実現を推進するものとなる。
100以上の金融機関が加盟する上海科創金融連盟は15日、「上海市の金融業が新質生産力の育成を推進するための3年行動計画」を発表した。同計画では、同連盟に加盟する銀行、証券会社、保険会社、ファンド会社などが今後3年内に、株式や債券の取引、貸付、保険商品の設定などを通じて2兆元(約43兆5900億円)を投じ、上海市の新質生産力の急速な発展を後押ししていく方針が示された。
北京市は新質生産力の育成を経済政策の最優先課題に掲げた。2月19日に開催した「首都の質の高い発展推進大会」で、新質生産力のワードを何度も取り上げた。
深セン市は3月14日、「新質生産力の発展、および戦略性新興産業群と未来産業の質の高い発展推進を加速するための実施方案」を発表した。これは新質生産力育成に関する中国国内初の産業政策で、戦略性新興産業と未来産業を新質生産力育成の柱とすることを盛り込んだ。
陝西省発展改革委員会は3月19日、「陝西省が産業イノベーション群の建設を高度に推進し、新質生産力の形成を加速する実施方案」を発表した。「2025年までに、国内をリードし、かつ世界トップレベルで、年間売上高が100億元規模の産業イノベーション群を10以上育成し、35年にコア競争力を備えた1000億元規模の産業イノベーション群をいくつか形成する」との目標を掲げた。