半導体後工程の長電科技、華潤集団が実質的支配者に
半導体後工程(パッケージング・テスト)受託企業で世界第3位の江蘇長電科技(JCET)は、中国国有コングロマリットの華潤集団の傘下に入る。半導体不況を背景に、長電科技は2023年の5割減益を予想している。絶大な資本力を持つ華潤集団の後ろ盾を得ることで、業績を立て直せるかが注目される。
長電科技は26日、華潤の全額出資子会社である磐石香港(BANDS Financial Limited)が自社株22.54%を取得すると発表した。これにより華潤は、長電科技の実質的な支配者になる。
長電科技の主要株主はここ数年、同社株の売却を進めており、長電科技は長期にわたり実質的支配者を持たない状態にあった。
今回の株式売買により、半導体受託製造の中国最大手である中芯国際(SMIC)の全額出資子会社の芯電半導体は、長電科技から完全撤退する。芯電半導体はこれまで長電科技の第2株位株主だった
華潤集団は、半導体メーカーの華潤微電子を傘下に持つ。華潤微電子は、半導体ウエハーの設計・製造や、パッケージング・テストを手がけており、長電科技は、「パッケージング・テストの領域において、華潤微電子と潜在的な競合が存在する」と認めていた。
2023年の世界の半導体パッケージング・テスト市場において、長電科技はシェア10.3%で台湾・日月光控股(25.9%)、米Amkor Technology(アムコーテクノロジー)(14.1%)に続く世界第3位だった。ただシリコンサイクルの不景気期突入を背景とした民生用半導体の需要減や顧客企業の在庫調整で、同社は23年の純利益が前年比49.99~59.08%減の13億2200万~16億1600万元(約277億円〜338億7100万円)にとどまるとの業績予想を発表した。
市場の変化に対応して、需要の拡大が続く車載電子やスーパーコンピューター領域への投資を進めている。3月初旬、米大手半導体企業のWestern Digital(ウエスタンデジタル)傘下で、フラッシュメモリ製品のパッケージング・テストを手掛けるサンディスクの中国子会社、晟碟半導体(上海)の株式80%を買収すると発表した。23年10月には、車載電子部品を手掛ける長電汽車電子に44億元を追加出資すると発表した。