ナトリウムイオン電池、中国でメーカー開発競争が加速

江鈴新能源汽車は昨年12月28日、孚能科技と共同開発したNaiB搭載コンパクトEVをラインオフ(同社リリースより)

次世代蓄電池の1つとして期待されるナトリウムイオン電池(NaiB)を巡り、中国電池メーカーの動きが活発化している。同分野にはすでに寧徳時代新能源科技(CATL)、比亜迪(BYD)を始めとする200社を超える企業が進出し、開発・実用化レースが幕開けしている。

BYDは4日、江蘇省徐州市でナトリウムイオン電池工場を着工した。中核子会社の弗迪電池が、小型車両メーカーの淮海控股集団と共同で進めるプロジェクトで、総投資額は100億元(約2,028円)。電池セルと電池パックを生産し、生産能力は30ギガワット時(GWh)を計画する。

江鈴汽車集団傘下で新エネルギー車(NEV)を生産する江鈴新能源汽車(JMEV)は昨年12月28日、車載電池メーカーの孚能科技と共同開発したNaiB搭載コンパクトEV「易至EV3」をラインオフした。NaiBのエネルギー密度は140~160Wh/kgで、氷点下20度の低温環境でも91%以上の放電容量保持率を持つ。

ナトリウムイオン電池の開発・製造を手がける中科海ナ(金へんに内)科技(ハイナ・バッテリー)は昨年12月27日、安徽江淮汽車集団(江汽集団)と共同開発したNaiB搭載EVをラインオフしたと発表した。1月中に顧客への納入を始める予定で、NaiB搭載車として世界初の量産モデルになるという。

CATLは早くからNaiBの開発に着手し、2021年に第1世代製品を投入した。現在、よりエネルギー密度とライフサイクル期間を高めた第2世代電池の開発を進めているとの情報がある。

中国では昨年11月30日、中国化学・物理電源業界協会(CIAPS)が発表した「ナトリウムイオン電池汎用規範」が適用された。EVや小型動力、蓄電など向けNaiBの電池単体および電池モジュールの業界規格を定めており、NaiBの実用化・普及を後押しすると期待される。

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