ASML、中国へのハイエンドDUV輸出を撤回 米国の要請受け
オランダの半導体露光装置大手、ASMLは1日、同社の先端深紫外(DUV)露光装置の輸出ライセンスの一部がオランダ政府から取り消されたと公式サイトで発表した。バイデン米政権の要請を受けた緊急の対応とみられる。
同社はオランダの新規制が完全に発効する1月まで、3種類のDUV露光装置を中国企業に出荷するライセンスを持っていた。しかし、米当局がASMLに中国顧客への一部装置の出荷を直ちに停止するよう要請したという。
声明によると、オランダ政府はこのほど、ASMLのDUV露光装置「NXT:2050i」および「NXT:2100i」の2023年向け中国向け出荷ライセンスを一部取り消した。これを受け、ASMLは「米国政府との最近の協議において、米国の輸出管理規制の範囲と影響をさらに明確にした」と述べた。
ASMLは2023年に中国の顧客にDUV露光装置を供給しており、「NXT:2000i」やより先進的なDUVモデル向けの製品も含まれている。一方で、先進的な7ナノメートル(nm)、14nm、その他の先進的なEUV(極端紫外線)露光装置に関しては中国の顧客に販売できない。
ASMLの公式サイトによると、同社は「TWINSCAN NXT:1980Di」、「TWINSCAN NXT:2000i」、「TWINSCAN NXT:2050i」の3種類のDUV露光装置を販売している。
昨年10月17日に発表された米国の新たな輸出管理規制では、一部の先端生産設備で使用される特定の亜DUV露光装置にも制限を課した。
中国外務省の王文斌報道官は2日、「米国が国家安全保障の概念を一般化し、さまざまな口実で他国に対中科学技術禁輸を強要することに中国は常に反対してきた」と指摘。「われわれはオランダ側に対し、客観的で公正な立場と市場原則を堅持し、中国とオランダ、企業双方の共通利益を守るために実際的な行動をとり、公正で無差別な国際貿易環境を維持するよう促す」と述べた。