中国企業、計算力インフラへの投資活発
中国企業がデジタル経済の基盤となる計算力インフラへの投資を活発化させている。計算力は、情報計算力、ネットワーク伝送能力、ストレージ容量が一体となった次世代の生産力として、各業界への浸透が加速している。
中国工業情報化省、国家インターネット情報弁公室、国有資産監督管理委員会などは10月、「高品質なコンピューティング・インフラの発展を目指す行動計画」を連名で発表し、計算能力、ネットワーク伝送能力、ストレージ容量、アプリケーションなどの各分野について具体的な数値目標を提示した。
そのうち、デジタルインフラの基盤である計算能力に関しては、2025年までに300エクサフロップス(EFLOPS。1秒間に実行できる浮動小数点演算の回数を100京回単位で表したもの)を超え、それに占めるスマート計算力の比率を35%に引き上げる目標を掲げた。スマート計算力は、人工知能(AI)の活用に向けて高効率かつ正確な計算力を提供できる計算設備とサービスを指し、主にディープラーニング、機械学習、画像識別、自然言語処理(NLP)の分野で応用されている。
こうしたなか、計算力インフラの整備に向けた企業の動きは活発化している。大手通信キャリアの中国電信(チャイナ・テレコム)は、今年9月に、安徽省蕪湖市と共同建設した「長江デルタ(蕪湖)スマート計算力センター」が運用を開始したほか、10月には、東部地域に集中するビッグデータを西部地域で処理するためのプロジェクト「東数西算」の一環として整備した、総投資額4億4,700万元(約93億2,700万元)の「国家ハブ慶陽計算力センター」が完工した。
このほか、通信プロバイダ大手の鵬博士電信伝媒集団、液晶テレビ向けの板金部品などを生産する江蘇利通電子、通信ネットワーク技術サービスの潤建股フンなどが計算力インフラ投資を積極的に進めている、
中国工業情報化部によると、中国の計算力の総規模は197エクサフロップスに達し、世界第2位となった。また、「中国AI計算力発展評価リポート」によると、中国のスマート計算力の総規模は2027年までの年間複合成長率が33.9%となり、同時期の汎用計算力規模の成長率16.6%を大きく上回る見通しだ。