華為が5Gチップ開発を再開、独自EDAツール完成

中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ、広東省深セン市)が5G(第5世代移動通信システム)チップセットの自社開発を進めている。米国が華為と関連企業に対し、米国製の技術・ソフトウエアへのアクセス制限を強化する制裁措置をとるなか、米国の技術に依存しない新しいチップセットの自社開発に乗り出した。

華為は今年、半導体メーカーの中芯国際集成電路製造(SMIC)と提携し、5G向けの独自ハイエンドチップ「Kirin」の生産を再開すると発表した。香港に本社を置く調査会社、カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチによると、同社が下半期に発表した5Gチップは、SMICが「FinFET N+1」プロセスの製造技術を用いて生産するとみられ、チップ性能は台湾積体電路製造(TSMC)の7ナノ技術に匹敵する。

中国のスマートフォン市場で一時はトップに登り詰めた華為は、米国による禁輸措置の影響で、スマホシェアを大幅に落とした。米商務省は昨年8月に、チップ設計に欠かせないEDA(Electronic Design Automation、電子設計自動化ツール)ツールを輸出管理規則(EAR)の対象に追加するとともに、同年10月に中国へのハイエンドチップとその製造技術の輸出を制限。これにより、華為はケイデンスやシノプシスといった米企業のEDAツールを利用することが事実上できなくなったためだ。

5Gチップの生産再開は、同社が3年ぶりに新たな5Gチップセットを誕生させることを意味し、同社がスマホシェア首位に返り咲く可能性を生みだすだけでなく、IC・ソフトウエア産業の発展を推し進める中国にとっても重要なマイルストーンとなる。

華為の徐直軍・輪番董事長は今年2月、国内企業と提携して、14ナノプロセスまで対応可能なEDAツールを完成させたと発表した。これは、「チップの母」と言われるEDAツールの国産化を実現したことを意味し、EDAツールをめぐる中国のサプライチェーン育成につながると期待される。

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