中国で制御装置「PLC」国産化進む、現地調達率100%の製品も
中国で、外部の機器を自動的にコントロールできる制御装置「PLC(プログラマブルコントローラ)」の国産化を進める機運が高まっている。中国ネット通販大手のアリババ集団傘下の物流会社、菜鳥(ツァイニャオ、浙江省杭州市)がこのほど発表した自社開発のPLCは、主要チップの国内調達率100%を実現した。
工場の自動化が進むにつれて、機械の制御に欠かせないPLCの市場は急速に拡大している。智能制造網によると、2020年の中国のPLC市場は112億元(約2,204億円)規模に達したが、独シーメンス、米ロックウェル・オートメーション、三菱電機、オムロンを中心に、外資が9割近いシェアを握った。
特に中大型PLCは外資ブランドが絶対的な優勢を持っており、中国ブランドは中小型PLCに集中する。しかしサプライチェーンは未構築で、2022年第3四半期(7〜9月)の中国国内での部品調達率は、小型が20.2%、中型が10%未満。大型に至っては1%にとどまった。
こうしたなかで中国では、国内のPLC産業が先端技術で先進国を追い越す好機を創り出す手段として、供給不足にある中大型PLCの国産化・スマート化を求める声が日増しに高まってきた。鉄鋼大手、宝鋼集団公司を親会社に持つ上海宝信軟信は、10年の歳月を経て大型PLCの自社開発に成功している。
アリババ集団傘下の物流会社、菜鳥がこのほど発表した自社開発のPLCは、主要チップの国内調達率100%を実現した。OS(オペレーションシステム)LinuxカーネルのRT-Preemptパッチを導入して、リアルタイム性を向上し、「航空宇宙レベルの製品の安定性」で欧州連合のCE認証も取得した。200以上の自動化プロジェクトで安定的に稼動しているという。
菜鳥は、次段階として標準スレーブ、分散IOモジュール、通信ゲートウェイ、高性能マスター、経済的なスレーブなどさまざまなPLC製品を市場に投入する計画だ。
近年、国内産業制御企業の製品技術研究開発およびマーケティング努力の継続により、匯川技術(広東省深セン市)、禾川科技(浙江省衢州市)、中控集団(浙江省杭州市)、和利時科技(北京市)、安控科技(四川省宜賓市)、豊煒科技(台湾)、傲拓科技(江蘇省南京市)、信捷電気(江蘇省無錫市)、科威自控(湖北省黄石市)、正航軟件(福建省厦門市)、宝信軟件(上海市)、台達電子(台湾)、台湾永宏(台湾)のほか、国内メーカーが積極的に市場を開拓している。 特に国内の動力電池、自動車、半導体、機械設備などの製造業は、PLC産業が市場を発展させる鍵となっている。
このうち匯川技術は、PLC分野の技術的な蓄積が豊富で、小型PLC、中型PLC、インテリジェント機械コントローラーなどを幅広くカバーする製品がある。宝信軟件は、鉄鋼業界向けの大型PLC製品を揃えている。