中国、脳とコンピューターがつながるBCIの活用を推進
中国が、人間の脳と外部機器をつなげる「ブレイン・コンピュータ・インターフェース」(BCI)の産業育成・発展に注力している。工業信息化部(工業情報省)の趙志国チーフエンジニアはこのほど北京市で開かれた科学技術関連のハイレベル国際会議「2023中関村フォーラム」で、工信部はBCIを未来の産業発展の重要な方向性と位置付け、BCI技術の活用の場を探索していくとの方針を示した。
趙氏によれば、中国はすでにBCIの分野で、基礎、技術、応用の各段階を網羅した切れ目のないビジネス生態系を形成しており、医療、教育、工業、娯楽の各分野で応用段階にある。
財聯社によると、北京市では5月初め、サルを使った介入型BCIの実験が成功を収めた。サルの脳血管壁に脳波計を配置し、サルの思考だけでロボットアームを制御することに成功しており、この種の実験の成功は世界で初めてという。
BCIに関して、中国はすでに医療応用の実現を政策方針に盛り込んだ。工信部などが今年1月に発表した「ロボット+応用アクションプラン」では、医療健康分野に関して、「神経系統の損傷、損傷後の脳認知機能障害などに対するリハビリ治療において、ブレイン・マシン・インターフェース(IBM)技術のブレークスルーを実現する」とし、BCIを用いたリハビリ機器の実用化を推進していく立場を明示した。
研究機関や海外の多くの政府は、BCIをメタバースや軍事などの領域に活用することを探索しており、マッキンゼー・アンド・カンパニーは、10~20年後の世界のBCI産業は、700~2,000億米ドルの経済価値を生み出すとの予測を示した。
イーロン・マスク氏が共同設立者でもある米脳神経インプラント開発企業、Neuralinkは5月末、米国食品医薬品局(FDA)から人間での臨床試験をする承認を受けたと発表している。同社は2020年にも、神経まひによる半身不随の治療を狙いとした脳神経インプラント「Link」などを発表していた。
中国でBCIに関連する企業としては、三博脳科、冠昊生物、漢威科技、創新医療、中科信息などがある。