中国クラウド最大手の阿里雲、最大5割値下げ  

シェア確保狙いか

阿里雲はクラウドの各サービスを最大50%引き下げた(アリババクラウドのリリースより)

中国IT大手、阿里巴巴集団(アリババ・グループ)傘下で、クラウドサービス事業を手掛ける阿里雲智能(アリババクラウド、Alibaba Cloud Intelligence)は26日、大規模な値下げを発表した。主力製品の価格を軒並み15~50%引き下げ、メモリ製品は最大50%の値下げを敢行する。

アリババグループ会長兼最高経営責任者(CEO)で、阿里雲智能のCEOを務める張勇氏は値下げについて、「技術力向上によるメリットを顧客やパートナー企業により還元するため」と説明。価格の引き下げを進め、クラウドの市場空間を拡大していくとした。

26日付第一財経によると、一方、業界関係者の間では今回の値下げについて、「アリババの一種の戦略姿勢を示したもの。新たな人工知能(AI)ブームにある中での中国クラウド市場の競争構図の変化とも関係している」との指摘もある。

生成系AIをきっかけとした足もとのAIブームは、クラウドコンピューティングの計算能力のパフォーマンス向上への需要を生んだ。加えて中国の通信キャリアが、クラウドコンピューティングや大規模言語モデル(LLM)分野への開発に力を入れており、一旦は安定したかにみえたクラウドコンピューティング業界は、競争構図に変化が生じている。こうした状況下で、阿里雲はより多くの企業を自社のビジネス生態系(エコシステム)に呼び込み、スケールメリットの形成を加速したい考えとみられる。

■コロナ下でキャリア勢が躍進

中国の調査会社IDCのリポートによると、中国の2022年下半期のパブリッククラウドサービス(IaaS/PaaS/SaaS)市場規模は188億4,000万米ドル(約2兆5,216億円)だった。そのうち、IaaS市場は前年同期比15.7%増、PaaS市場は同31.8%増の成長ペースだった。

企業別のシェアランキングは、阿里雲、華為雲、天翼雲、騰訊雲、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の順で、中国電信(チャイナモバイル)の天翼雲が騰訊(テンセント)の騰訊雲を抜いて、3位に浮上。阿里雲、華為雲、騰訊雲の3強態勢が崩れた。

業界関係者は、「テンセントは新型コロナウイルス感染拡大時期に、コロナ抗原検査スクリーニングやワクチン接種などに絡むクラウドサービスを中国電信を含む通信キャリアに譲渡しており、これがキャリア勢の躍進につながった。アリババや華為もキャリア勢に市場を奪われつつある」と指摘した。

IDCによると、22年下半期は、中国通信キャリア3社の「Iass+Pass」事業の売り上げが倍増し、業界平均を超えた。パブリッククラウド市場シェアは、阿里雲がトップを維持したものの、シェア自体は前年同期の36.7%から31.9%に縮小した。一方、天翼雲はシェアを前年同期の8.9%から10.3%に拡大。中国移動(チャイナモバイル)のクラウドサービス「移動雲」もシェア6位に躍進した。

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