メモリ価格高騰で中国の中古デジタル機器の回収市場が活況

メモリ価格の急騰を背景に、中国で廃棄されていたスマートフォンやパソコンなどの中古デジタル機器の回収市場が急速に活気づいている。かつては外観や動作可否が重視されていたが、現在では「メモリ容量」と「搭載チップの種類」が査定の中心となり、市場の評価基準が大きく変化している。

中国経営報によると、電子市場で回収業を5年間営む業者は、「以前は見た目や電源が入るかを見ていたが、今は大容量メモリや主流フラッシュチップを搭載していれば、状態に関係なく買い取る」と語る。回収量はここ最近で急増し、2日分の仕入れが以前の半月分に匹敵するという。

2025年後半以降、DRAMやNANDフラッシュといったメモリチップ価格が世界的に上昇し続けている。供給不足と現物価格の高騰を受け、電子修理業界や小規模デジタル機器メーカー、産業機器分野などでは深刻な「チップ不足」に直面。これを補うため、既存の中古機器からメモリチップを取り出して再利用する動きが広がり、回収市場の需要を一気に押し上げた。

実際、古い機器の価格は大幅に上昇している。ある消費者は、6年前に購入した画面割れのスマートフォンを135元(約3105円)で売却したが、半年前は同モデルがわずか35元だったという。メモリ容量が6ギガバイト(GB)以上の旧型スマートフォンは、前年同期比で100%~180%の値上がりとなり、12GB以上の高容量モデルではさらに高値が付くケースもある。

パソコン用メモリも同様で、4GBのDDR4メモリは10元未満から25~30元に、8GB品は15元前後から80元前後へと急騰。一部の高性能メモリでは100元近くに達している。

こうした動きはオンライン回収プラットフォームにも波及しており、価格は「日単位」で変動するどころか、同日内でも上下するケースがある。複数台の旧機器をまとめて売却し、数百元から1000元近くを得る利用者も現れている。

さらに、従来は価値が低いとされていたMP4プレーヤーや旧型スマートウォッチ、サーバー用メモリなどのニッチ製品にも需要が拡大。専門業者が現金で買い付けに回るなど、新たなビジネス機会として注目されている。

メモリ需要の爆発的な増加

この背景には、AI産業の急成長によるメモリ需要の爆発的増加がある。AI(人工知能)サーバーやクラウドデータセンターではHBM(高帯域メモリ)や大容量メモリの需要が急増し、供給は韓国サムスン電子、SKハイニックス、米Micron Technology(マイクロン・テクノロジー)の大手3社に集中。市場支配力の高さも価格上昇に拍車をかけている。

市場データによれば、DDR4メモリやSSDの価格は軒並み20%以上上昇し、一部製品では30%近い値上がりを記録。さらに調査会社の報告では、直近3カ月でメモリ現物価格が300%以上上昇したとされ、2026年第1四半期のDRAM価格は最大95%上昇すると予測されている。

中古メモリが代替手段に

こうした状況の中、分解回収されたメモリチップは重要な代替手段となっている。洗浄・検査・修復を経たチップは、スマートフォンやノートPCの修理・増設、スマート家電や産業機器、さらには小型サーバーやクラウド端末など幅広い用途に再利用される。

新品チップに比べ価格は40~60%程度と安価で、供給も安定していることから、多くの修理業者が依存度を高めている。ある店舗では、現在の修理業務の約90%が分解チップに依存しているという。

このように、中古デジタル機器は「都市型電子資源」として再評価されつつあり、回収から再利用までの循環型産業チェーンも形成されている。中国では年間で億台規模のスマートフォンと数千万台のパソコンが廃棄されており、膨大な潜在資源が市場に眠っている。

一方で、市場の急拡大は課題も浮き彫りにしている。価格の不透明さや違法業者の存在、そして個人情報の漏洩リスクが深刻化している。特に、廃棄機器に残る写真や連絡先、決済情報などのデータが不正に復元・転売されるケースも報告されており、業界の健全な発展には規制と管理の強化が求められている。

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