中国でフォトレジスト用光開始剤が量産化へ、湖北興福電子

中国の湿式電子化学品メーカーの湖北興福電子(湖北省宜昌市)がこのほど、湖北省の科学研究機関、湖北三峡実験室が独自開発したフォトレジスト用光重合開始剤の技術権利や設備などを4,626万元(約10億4547万円)で取得し、近く量産段階に入ることが分かった。ほぼ海外からの輸入に依存していた半導体材料で、中国のフォトレジスト産業の国産化を力強く後押しするものと期待されている。
半導体製造工程において、フォトレジストはカメラの「フィルム」に例えられる重要材料だ。今回の成果の中核であるG/I線用フォトレジスト向け光開始剤の基幹技術は、レジストの感度や解像度を左右する決定的な要素となる。
光開始剤はフォトレジスト全体の中でコスト比率が1~6%にすぎないものほ、露光精度を決定づける要の材料だ。これがなければ、どれほど先進的な露光装置があっても像を形成できない。かつて国内需要の95%以上は輸入に依存し、海外供給が止まれば生産ライン全体が停止するリスクを抱えていた。調達できたとしても価格や納期は相手次第で、数カ月待ちも珍しくなかった。
湖北三峡実験室でフォトレジスト用光開始剤プロジェクトを担当する周鋼翔博士によると、同技術は主に国内の成熟プロセス向け半導体製造やパネル製造分野を対象としている。中国では新エネルギー車(NEV)産業の急成長に伴い、多数の半導体チップが使用されており、その多くでG/I線光刻レジストが必要とされているという。湖北興福電子は湖北省内初となる光開始剤の生産ライン建設を進めている。今後3年で、国産G/I線フォトレジストの市場シェアは50%を超える見通しだ。
湖北省に拠点を置き、半導体エッチング向けの電子級リン酸や電子級硫酸などを主力製品とする湖北興福電子も、以前から同分野への参入を検討していたが、ゼロからの研究開発(R&D)にはリスクが高いとして慎重な姿勢を取っていた。そこで、微電子用新材料を主な研究分野とする湖北三峡実験室にR&Dを要請し、今回の成果につながった。
フォトレジスト関連企業は1000社
データによれば、中国におけるG/I線フォトレジストの年間需要は1500~2500トン、市場規模は約18億元に達する。これは国内成熟プロセスチップ生産の70%以上を支える基盤材料であり、新エネルギー車のIGBTモジュール、スマートフォンの電源管理チップ、産業用センサーなど、あらゆる分野で不可欠だ。最先端の5ナノメートル(nm)世代ではないものの、デジタル経済にとっては「電気・水・ガス」に相当する存在。現在、国産化率は一桁台から15%へと急上昇し、一部製品では歩留まり95%超を達成、中芯国際(SMIC)や華虹半導体など大手メーカーへの安定供給が始まっている。
もっとも、限界もある。KrF(クリプトン・フッ素)やArF(アルゴン・フッ素)といった先端フォトレジスト向けの光開始剤は、依然として輸入依存度が高く、技術障壁も検証期間も長い。国産の強みはG/I線を中心とする中低端分野に集中しており、先端プロセスを全面的にカバーするには至っていない。
中国企業情報検索サイト「企査査APP」によると、2026年1月12日時点で国内に存在するフォトレジスト関連企業は1,040社に達している。また、これまでに公開されたフォトレジスト関連の国内特許件数は1万7,300件に上る。



