米エヌビディアとAMD、今月以降にGPU値上げか

eurogamerなど複数のテクノロジー系メディアやサプライチェーンの報道によると、米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)とAdvanced Micro Devices(AMD、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)が2026年初頭に向けて、GPU(画像処理半導体)の価格を引き上げる見通しだ。
Board ChannelsやWccftechなどの情報筋によれば、両社は今後数カ月以内に、販売中のGPU製品について段階的な値上げを計画しているという。AMDは1月から、エヌビディアは2月から価格調整に踏み切る可能性が高いとされている。
値上げの影響はまず、エヌビディアの高性能グラフィックボード「GeForce RTX 50」シリーズやAMDの「Radeon RX 9000」シリーズといったコンシューマー向けGPUに及ぶとみられる。エヌビディアのフラッグシップ製品であるRTX 5090は、25年1月に発表され、希望小売価格は1,999ドル(約31万3443円)とされたが、今年中に実勢価格が5,000ドルに達する可能性が指摘されている。
その後、値上げは両社の全製品ラインに拡大する公算が大きく、一般向けGPUだけでなく、AI(人工知能)データセンターやサーバー向けGPUも対象になるとみられる。関係者によると、グラフィックスカードメーカーが価格を引き上げるタイミングは各社の判断次第だが、エヌビディアやAMDから、メモリを含むモジュールをより高価格で調達せざるを得なくなれば、GPU価格の引き上げは避けられないという。
背景にメモリ価格の高騰
今回の値上げの背景には、GPUのコスト構造におけるメモリの比重が急速に高まっていることがある。ここ数カ月でGPU向けメモリ価格が急騰し、従来の価格を維持するのが難しくなっている。業界関係者は「最近では、メモリコストがGPU全体の製造コストに占める平均割合が80%を超えている」と指摘する。
例えば、RTX 5070 Tiに搭載される16ギガバイト(GB)のメモリ「GDDR7」は、25年5月時点では調達コストが65~80ドルだったが、同年12月には210~260ドルにまで上昇した。エヌビディアおよびASUS、MSI、Colorful(七彩虹)などのパートナー各社は、24年末に締結した長期契約に基づき、25年上半期は比較的安定した条件で供給を受けていたため、RTX 5070 Tiは約749ドルの希望小売価格で市場投入が可能だった。
しかし、こうした旧契約の大半は25年末で期限を迎え(エヌビディアは今年1月、AMDは昨年12月に契約終了)、2026年向けの新たな調達契約では、数倍に跳ね上がったスポット価格を前提に交渉せざるを得ない状況となっている。
AIチップへの旺盛な需要を背景に、サムスン電子やSKハイニックスなどのメモリメーカーは、従来GDDR7向けだった生産ラインを、より高収益なHBM(高帯域幅メモリー)4(Blackwell Ultra向けAIチップ用)に転用している。AIデータセンター向けGPUも長期契約で供給されているが、メモリ価格の上昇は、26年に締結される新契約に反映される可能性が高い。
エヌビディアのフラッグシップAI GPUである「H200」は、1基あたり3万~4万ドルで取引されており、今年さらに価格が上昇するとの見方もある。H200には第5世代のHBM3Eが6基搭載されている。
PC市場にも波及へ
メモリ価格の高騰は、ノートパソコン市場にも波及する見込みだ。2025年は本体価格の調整が進み、一部では8GBメモリ搭載といった事実上の仕様縮小モデルが投入される一方、16GB以上のメモリを備えるモデルは大幅な値上げが予想されている。調査会社TrendForceは、DRAM供給が極めて逼迫しており、各ブランドが在庫確保のため製品ラインの再設計と価格引き上げを進めていると分析している。
直近では台湾の華碩(ASUS)が、AI需要の拡大によるDRAMおよびストレージコスト上昇を理由に、1月5日から一部製品の価格を引き上げると発表している。



