米国、サムスン・SKハイニックスの中国工場に「年次承認制度」提案

米国政府は、韓国半導体大手サムスン電子とSKハイニックスの中国工場で使用される半導体製造装置の輸出について、無期限の包括的許可を撤廃し、1年ごとの承認制に移行する方針を検討していることが明らかになった。米ブルームバーグが8日報じた。
関係者によると、米商務省は韓国側に対し、バイデン前政権下で与えられていた「経証済最終ユーザー(VEU)」資格を取り消し、トランプ政権流の「現場許可」制度に切り替える案を提示。これにより、韓国企業は年1回の輸出承認を受けることで必要な装置や部材を調達できるが、新規の増設や設備更新は認められない見通しだ。
サムスンとSKハイニックスは現在、中国に大規模なNAND・DRAM工場を構えており、両社の収益に直結する重要拠点となっている。これまでVEU資格によって迅速かつ包括的に米製装置を輸入できたが、今後は120日後に猶予期限が切れ、すべての輸出に個別承認が必要となる。
韓国産業界と政府は今回の提案に「運転継続が可能になる点は安心材料だが、追加の規制負担は大きい」と複雑な反応を示している。SKハイニックスは「韓米両政府と緊密に協議し、影響を最小化する」とコメント。サムスンは沈黙を保っている。
米政府内部では「VEUは安全保障上の抜け穴であり、中国への技術流出リスクがある」との強硬論がある一方、前政権関係者からは「韓国企業は十分な安全保証を提供してきた」との反論も出ている。さらに、年次承認に切り替えることで、米当局が年間1000件以上の追加審査を処理する必要があるという実務的な課題も浮上している。



