SKハイニックス、321層QLC NANDフラッシュの量産開始を発表

韓国の半導体大手、SKハイニックスは24日、321層構造の2Tb(テラビット)QLC NANDフラッシュメモリーを開発し、量産を開始したと発表した。
同社は「世界で初めて300層を超えるQLC NANDフラッシュの開発に成功し、再び技術的な限界を突破した」と述べ、この製品は既存のNANDフラッシュの中で最高レベルの集積度を誇ると強調した。現在、世界各国の顧客による検証を進めており、2026年上半期にはAI(人工知能)データセンター市場へ本格投入する計画だという。
コスト競争力を最大限に高めるため、新製品は従来の2倍容量となる2Tbで開発された。通常、NANDフラッシュは容量が増えるほどセルに保存される情報が多くなり、制御が複雑化して処理速度が低下する。しかし、今回SKハイニックスはチップ内部の独立稼働が可能な「プレーン(Plane)」を従来の4から6へ拡張し、並列処理能力を強化。大容量化による性能低下を抑制した。
その結果、新製品は高容量化と高性能化を両立。データ転送速度は2倍に向上し、書き込み性能は最大56%、読み取り性能も18%改善した。さらに、データ書き込み時の電力効率は23%以上高まり、省電力が求められるAIデータセンター用途においても競争力を確保した。
同社はまずPC向けSSDに搭載し、その後データセンター向けのエンタープライズSSD(eSSD)、スマートフォン向けの組み込みストレージ(UFS)へと展開する計画だ。また、自社の独自技術である「32ダイパッケージ(32DP)」を活用し、32枚のNANDチップを積層することで従来の2倍の集積度を実現。AIサーバー向け超大容量eSSD市場に本格参入する。
SKハイニックスでNAND開発を担当する鄭羽杓副社長は「今回の量産開始により、高容量ストレージ製品のラインアップを大幅に強化するとともに、コスト競争力を確保できた。急拡大するAI需要やデータセンターの高性能要求に応えるため、『フルスタックAIメモリプロバイダー』としてさらなる飛躍を遂げる」とコメントした。



