「AIグラス」大競争時代突入へ、中国ARスタートアップも気勢
2025年はAI(人工知能)を搭載したスマートグラスの普及が一気に進み、業界企業は大競争時代に突入するとみられる。中国では、拡張現実(AR)関連スタートアップが単身、Meta(メタ)やApple(アップル)といった米大手に挑もうとしている。
ARグラスは技術的な問題から価格は高く、大衆品との間に一定の距離が存在する。そんななか、AI新時代の到来は、AIと眼鏡型ウェアラブルデバイスとの融合を実現し、より多くの選択肢を生み出した。AIを搭載した「AIスマートグラス」は、「AI+ARグラス」の商品化前夜にある今、企業にとって最善の選択肢となる可能性すらある。
中信証券のリポートによると、2024年の世界のAIグラス出荷量は300万台を突破したもようだ。25年は1000万台に拡大し、AI機能を搭載したスマートグラスの市場浸透率は60%に達すると見込まれる。多くの予想機関は軒並みAIグラス市場の見通しを好感しており、向こう数年は市場規模が爆発的に拡大していくとみている。
AIグラスは足元で、大規模言語モデル(LLM)の実用化が最も容易なスマートデバイスであり、また、左右のイヤホンがケーブルで繋がれていないTWSイヤホンの眼鏡型バージョンと目されている。比較的安いコストと販売価格、および従来の眼鏡の感覚に近い着用感が人気を呼び、メタ社のAI機能搭載グラス「Ray-Ban Meta(レイバン・メタ)」の販売台数はすでに200万台を超えたもようだ。
消費者向けARグラスを「RayNeo」ブランドで展開する雷鳥創新の創始者である李宏偉最高経営責任者(CEO)は、向こう1〜2年はAIグラスの販売台数がARグラスを大きく上回るとの見方を示している。
AIグラス市場には、従来の眼鏡メーカーやARグラス企業のほか、百度などのテック企業や、小米などのスマートフォン大手が次々と参入した。ある投資家は、スマホやARグラスと比べると、AIグラスの開発コストは相対的に安い」と述べた。
中国自動車大手の浙江吉利控股集団(浙江省杭州市)傘下でスマホ事業を手がける湖北星紀魅族科技の高級副総裁で、XR事業部の総裁を務める盧勇氏は、「AIグラス市場は向こう2~3年が重要期。大量のブランドが現れると同時に、多くのブランドが淘汰されるだろう」と述べた。
星紀魅族は2023年に自社初のARグラスを市場投入後、24年にスマホなどの端末と連携できる新製品を発売。同年10月と11月の2カ月連続で、主要ECサイトの一体型ARグラス部門で販売首位に輝いた。2000~2999元(約4万2999~6万4477円)の主力価格帯で41.5%のシェアを確保している。
一方、雷鳥創新が先ごろ打ち出したARグラス「Air3」は、価格が1699元に設定され、ARグラスを巡る低価格競争の始まりを連想させた。