米カリフォルニア州知事がAI開発規制法を拒否、AI企業の商機拡大

AI(人工知能)の規制を目的とした米カリフォルニア州の上院法案「SB 1047」について、同州のギャビン・ニューサム知事が9月30日、拒否権を発動した。同法案は米史上最も規模が大きく、最も厳格なAI規制法案として関心が高まっていた。規制への不安が取り除かれたことで、AI大手は大規模なAIモデルの開発計画をスムーズに進行できるようになる。AIモデルのトレーニングと動作をサポートするAIサーバーメーカーにも巨大な商機をもたらしそうだ。

カリフォルニア州は今年2月、開発費が1億米ドル(約143億円)を超える大規模なAIモデルの開発に安全性テストを義務づける「SB 1047」を策定した。同法案はカリフォルニア州議会を通過し、ニューサム知事による署名を待つ状態となっていた。ニューサム知事は、同法案は開発の規模さえ大きければ厳しい規制が適用されてしまうとして、署名を拒否。法案は成立しなかった。

カリフォルニア州には、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)、Meta(メタ)、OpenAIなど世界の主要AI企業50社のうち32社が拠点を置いているほか、スタンフォード大学、カリフォルニア大学バークレー校といった世界トップクラスの大学がある。このため、同法案の可否は、AI開発の未来を握るカギともみられていた。

B-1047法案の行方が不透明ななかで、AI企業の間で大規模AIモデル開発への投資を手控える動きもあると伝わっていただけに、法案否決はAI商機の拡大につながる。なかでもAIサーバーの受託生産を行うEMS(電子機器受託製造サービス)最大手、台湾フォックスコンはその恩恵を最も受けるとみられる。広達電脳(クォンタ)や緯創資通(ウィストロン)といった台湾の電子機器受託製造大手にも大きな商機をもたらす可能性が高い。

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