中国製造業の人手不足3000万人、新エネ車やICT領域など

中国の製造業が人手不足の課題に直面している。「政府活動報告」起草チームの責任者である国務院研究室の黄守宏主任は今年の政府活動報告の内容を読み解いた際、「現在は多くの業界・領域が人材不足の問題を抱えており、製造業は3000万人が不足している」と現状を述べた。

「世界の工場」としての地位を築き上げた中国は、世界全体に占める製造工業の付加価値額の比率が約30%と、14年連続で首位にある。

人力資源・社会保障部のまとめによると、中国では2025年までに、スマートマニュファクチャリングの領域だけで9000万人の人材を必要としており、450万人が不足する見通しだ。

また工業信息化部など政府3部門が発表した「製造業人材発展計画指南」によると、25年には新エネルギー車の領域で、103万人の人材が不足するとみられる。世界全体に占める中国の新エネ車生産・販売台数はすでに60%を超えているが、業界の目覚ましい発展の背後には、高度人材の不足という現実がある。

ICT(情報通信技術)分野の人手不足も深刻だ。通信大手の華為(ファーウェイ)とアーンスト・アンド・ヤング(EY)の中国法人、安永(中国)企業咨詢がまとめたリポートによると、25年までにクラウドコンピューティング、ビッグデータ、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、5G(第5世代移動通信システム)などの領域を中心に、合わせて2000万人超が不足する見通しだ。

データ分析人材の不足も予想されている。人力資源・社会保障部は、第14次五カ年計画に当たる期間(21~25年)のデータ分析人材需要は約2000万人に達すると予測しているが、データ分析人材の育成環境は未整備のままとなっている。

世界的に問題となっている半導体人材不足に関して、関連の調査によると、中国の人材不足は全方位的で、産業の川上から中・川下に広がっている。中でも、半導体設計・製造プロセスで技術者の需要が最も大きい。

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